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旅と散歩と蜘蛛の巣とブラックボックスの話し

日常に旅を取り入れる。
一番手軽な方法は…散歩です

在宅で仕事をした今日は、夕暮れ時の少しの休憩に散歩をしました。
旅をした時は新鮮な目で景色を見つめます。
色褪せた塀の模様、道端に咲く野草、雲の形まで、じっと見つめます。
普段の生活では通り過ぎてしまう”当たり前”を、旅人は意識を持って見つめます。

僕はこの視点を大事にしたい。
日常でも保ち続けたい。


今日は気持ちよく晴れていて、風も優しく、過ごしやすい一日でした。
空を見上げて澄んだ水色を堪能しようかと思ったのですが、ここは住宅地。
空と僕との間には、電線がそこら中に張り巡らされていました。
まるで蜘蛛の巣。
電気やネット回線は、きっと空中で罠にかけて捕らえたものが供給されているのでしょう。

とは思いませんが、でも僕にはなぜあれほどの電線が必要なのか分かりません。
電線にも色や太さなど違いがあります。
太い黒い電線は何を通しているのでしょう。
青い線は?
謎です。


僕らが暮らす世の中は、ブラックボックスだらけです。
電線の種類を知らないし、家の壁と壁の間には何が詰まっているのか分かりませんし、トイレの水はどんな道を辿って下水処理場にいくのか、地中の中がどうなっているのか、僕は車もよく知らずボンネットを開けても武骨な鉄の整列にしか見えません。

もっと言えば、身の回りにある物々。
衣服の素材がどこでどんな人が作っているのか、どんな旅をして僕の手元までやってきたのか。
食や家電・家具、あらゆる物が僕の知らないストーリーを持っています。

「すべて知る必要あるか?」と言われればそれまでなのですが、自分が生活している仕組みを知りたいと思うのは僕だけでしょうか。
僕が何不自由なく暮らしていけているのは、かつてのいろんな人の発明や仕組みづくり、努力、仕事で支えられ、それを想像ではなくリアルに実感したい、そう思ったのです。

ミスターチルドレンの「彩り」という曲ではこう歌われています。

ただ目の前に並べられた 仕事を手際よくこなしてく
コーヒーを相棒にして
いいさ 誰が褒めるわけでもないけど
小さなプライドをこの胸に 勲章みたいにつけて

僕のした単純作業が この世界を回り回って
まだ出会ったことのない人の 笑い声を作ってゆく
そんな些細な生き甲斐が 日常に彩りを加える
モノクロの僕の毎日に 少ないけど赤 黄色 緑

全ての頑張るサラリーマンへ。
そんなキャッチフレーズが聞こえてきそうです。
僕は誰かが加えた彩りに気付けるような人になりたいし、僕も彩りを加える人で在りたい。

旅人の目線は、きっと彩りに気づくための視点だと思うのです。
もし毎日が忙しくて心に余裕がない人がいるのであれば、旅人になったつもりで、日常を新鮮な目で映し、日常の素晴らしさを再確認してみるといいかもしれません。
とはいえ、僕は仕事で忙殺されているときはそんなことを考える余裕が無くなってしまうのですが、そんな人もいつかまた、なんでもない一日が愛おしく感じる時間が来ることを願っています。

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