夏を捨てる

変わり映えするはずのない街にいた記憶を捨てるまねをしていた

あふれゆく記憶のなかであなたさえ携えてゆくこともできずに

ひそやかに横切る風のスピードに歩調をふたり合わさずに行く

遠回りばかりの僕が手渡した気持ちはすでに腐りかけてた

空想の街はあなたが泣いていることを除けば完璧でした

七色の水面の中で乱反射していた夏がもう見えないや

憂鬱な季節をひとつ越えるため書き留めていた手紙を捨てた

縮こまる部屋の外にはまた別の展開がある街があるから

(2024年1月24日にSPARTA LOCALSのアルバム『悲しい耳鳴り』を聴きながら作った短歌を並び替えて連作にしたものです。)

https://music.apple.com/jp/album/%E6%82%B2%E3%81%97%E3%81%84%E8%80%B3%E9%B3%B4%E3%82%8A/1250006673

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