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人生は旅・北海道グルメ編

テレビの情報コーナーでデパートの催事紹介をしていた。
いつもならば気にも留めないそのコーナーに釘付けになったのは、それが
「北海道展」だったからだ。
結婚していたころの一時期、札幌に住んでいたので「北海道」と聞くだけで懐かしさが込み上げる。

じつは私は学生結婚だった。というのか、相方が大学院一年生だった。なので家計のために私がおもに働き、相方は学業の合間に予備校の講師としてバイトをしながらの生活であった。
当然のことながら経済的に大変で食べるものにも窮するような暮らしだ。

さて北海道で安くて旨いといえばなんといっても「ジャガイモ」である。そこでジャガイモを10㎏の箱で定期的に買っていた。(今思うと、あの頃の私のなんと逞しかったことか!自転車の荷台に10㎏箱を乗せていたのだから!)
芋を茹でてそれを我が家の主食にしていた。けれどもジャガイモだけでは食卓が寂しいので、秋から冬は格安で売られているリンゴを買った。形の不揃いなリンゴたちは街の商店では安く購入できるので、これもまた10㎏の箱買いだ。主食はジャガイモ、デザートはリンゴというわけだ。
私たちの貧しい様子を見かねて近所の人が玄関の入り口にそっと、乾物やら米やら菓子やらジュースに缶詰などを置いて行ってくれたりすることもしばしばの出来事でもあった。

「時薬(ときぐすり)」という言葉があるが
そんなツライ体験をした北海道札幌市での遠い思い出も、今となっては笑い話だ。

テレビの情報番組では「北海道といえばウニやイクラですねえ」とレポーターが声高に言っていたが、私の中では北海道グルメといえば、そんなわけで
なんといっても「ジャガイモ」に限るのだ。
ホクホクと蒸かした男爵イモに塩をふって、がぶりと頬張りたい衝動に駆られる。どんなディナーよりも美味しい。もちろんテレビ番組では紹介してくれないのだが……(笑)

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