設計に関する48章『て』テスト終わって対策でず

設計に関する48章
『て』テスト終わって対策でず
副題:テストは趣味にあらず
ここで、最重要なのは、テストをする目的である。
1)設計で見落とした所を見出す
→いまは、FEM解析など解析ツールを駆使して最弱部や、流体の流れなどを検討し危なそうな所に歪みゲージを貼る。
昔は、何百枚も貼ったが今は危なそうな部分の周辺に貼る。
2)設計困難または不安な所があり、テスト確認したい。
→1)と同じ手法で進める。
3)性能が設計値と合致してるかの確認。
→これは、機能品の場合であり、設計の計算と機械効率などが合致し所定の性能が確保出来ているか、昨今では田口メソッドなどから影響する因子のパラメータを振って評価する。
4)不具合発生時の原因追及と対策の見極め
→試験部門と破損部位の破断面解析をしたり、油圧であればリーク試験など確認し
必要により、内視鏡などで確認したり、
油圧ブロックなどカットして内部の傷など
の確認をする。

試験部門は試験進捗の速報を流す。
1)応力の出た箇所の結果と試験条件。
他の箇所は問題あるのか無いのか。
→ダメな部分は、どうダメでこうすれば良く
なりそうだと言う見解をつける場合もある。
それで、設計部門と対応会議を持ち方向を決め対策案を決める。

2)機能品の場合
内部構造を確認して最弱部を見出す。
性能評価試験でまずは性能が出ているかを
見極める。次に応力評価、耐久評価に移行して行く。
この場合でも、摩耗系が絡む場合は、耐久1年目、2年目など年数毎に摩耗部の寸法測定
をして耐久性の想定をしながら速報を設計部門に提供し、設計の手待ちをなくし問題ある場合は、対策会議で方向を決める。

設計と試験は協業して進めることで、初めて
試験短縮と開発の短縮が図れる事になる。

『こ』こわれたところは強度を2倍に
副題:事故再発防止
色々と検討し、それでもこわれた場合は、まずは何処がこわれたのか?を見ることから始まる。破断面解析をし、疲労破壊か応力集中破壊か一発破壊か見極める。
次に壊れた部分の設計FEM解析結果と試験での応力確認結果と照合する。
疲労破断や応力集中破壊であれば、強度二倍にしておけば問題は収まる。
一発破壊的な破断面なら、顧客の使い方の問題の可能性がある。同様の問題の発生があるのかどうかサービスのクレーム情報などを確認し複数発生している場合は、市場の使われて方の変化の可能性があり、しっかり使われて方を再度確認して対応策を決定する必要がある。強度二倍にしても、疲労破壊する可能性は残ってしまうからである。
顧客の使い方が、一発破壊的な場合は、使い方に関しての説明と銘板、取り扱い説明書の改版は必要である。
後は、制御的にショックレス機能を強化し衝撃荷重が入らないように、時定数をかければ衝撃荷重が入らなくなる。そこで強度二倍にしておけば、問題は発生しなくなる。
設計は現地、現物、現認が基本であり、その上で改善策を決定するべきである。
事故の再発防止は取りまとめ、不具合事例や、負荷条件の見直し、制御方法の標準化をして再発防止をすること。

強度問題であれば
壊れ方が同じなのか、違うのかを見極める。

『ふ』部品多ければ不具合多し
副題:システムの信頼性
信頼性工学などが普及し、分析手法として昨今は、当たり前の考えになっている。
組立からしても、部品が多ければ締結部品が増えトルク管理も必要な箇所も増加する。
ここで、機能部品はモジュール部品として機能部品評価を徹底的にやると記載されている。モジュール部品の考え方はどれだけの展開を考えているのか、モジュールマトリクスをしっかり作成し、機種を横断して、使われて方を洗い出し、試験条件と合格条件を決めて評価を徹底的に実施する。
機能部品はシリーズ化し、カタログ製品的に整理する事が肝心である。
そうする事で、試験条件と合格条件の考え方も金太郎飴のように、抜け無く考える事が出来る。
例えば、機械の部品の場合、走行モーターのように、回転数、トルクなどでシリーズ化される。
建築であれば、エレベーターなども機能部品であり、積載荷重などでシリーズ化していると思う。
機能部品評価としては、部品メーカーが評価徹底するが、使用する業界の使われ方で、評価されてはいない場合が多い。
その場合、使われて方から評価項目を洗い出し、実施されている試験内容と照合し、評価項目と条件を整理して、追加試験の必要性を
見極めて部品メーカーに試験をして貰うことにする。
評価完了したら、QC工程表、作業手順書、作業標準書を作成させ、工程監査を実施して物作りの評価をする。
これで合格した部品は、使用可能となり、次に開発する機種が仕様範囲内であれば使えるように棚に上げられることになります。
いずれにせよ、部品点数が少ない方が不具合が少ないのは確かです。

『け』計画良けれ終わりよし
副題: 初期(基本)設計の重要性

初めが良けれ全てよしと言うのは、初めが肝心だと言うことである。

機械設計において、計画設計の前の構想設計はとっても重要である。
構想設計がまずかったら、方向がズレてしまい。どんな計画をしても顧客に受け入れられない。機械設計の場合、計画は図面バラシをするための計画であり、計画しながら強度計算、機構の成立や仕様の成立を検討して行く。
精度のいい、構想設計は新規の構造は検討し既存の部品群から部品を仮置きし、そこそこ行けるか、作業性などを検討し、当たりづけをして、コスト目標などの成立を考えて、QCDの目標に合致するか検討する。
これで、製品企画が可能になる。
昨今では、モジュール部品開発を先行させ
見積もり用図など、コスト目処を立てて製品企画に望むようになっている。
これで原価企画が出来る。
石橋を叩きすぎると、開発スピードが減速し
タイムリーに新機種を投入出来ない場合が発生する。
チーフエンジニアは営業部門と上手く調整しコストのポケットを持っておくべきで、素っ裸では厳しい。原価企画の3%程度はポケットを持っおくべきである。

今回の大東さんの設計問題
上物の設計は非常に良かった。
杭については、設計からは上物も変更して考えると提案されたが、上物はそのままとして、杭でなんとか出来るはずと考えて検討をお願いした。

出発が間違った方向であれば、これはいくら素晴らしい案でも全てボツとなるが、どう挽回するかの目標がしっかりして入れば、無駄な労力は使わないで可能性を探る事が出来る。
今回の挽回策
上物は変えないと言う基本方針とした。
1.杭の問題
φ1600x12とかφ1900x6は、強度計算的に
断面係数が2.5〜3倍必要と言う事は無いだろうと考えた。
→セカンドオピニオンで検討して頂いた結果
φ1600x7本でなんとかなった。
2.既存杭の位置の確認の問題
→これについて、現地、現物、現認、を要求
した結果、干渉問題は無かった。
現地、現物、現認が基本であり、既存杭の位置が青図で想定可能であれば、測定が不明確であれば、真っ先に再測定をするべきである。指摘され再測定などならないように気をつけるべきである。
再発防止としては最低でも設計者として
1.現地、現物、現認する。
2.どうそれを展開すれば間違いなく後工程に引き継ぎ出来るか?
引き続き書の項目見直し、チェックリスト、設計検討項目一覧、写真などの添付、後工程での現地確認など。
2.設計担当は出て来た計算結果を、どう簡易検証するか?責任は設計統括している人であるが、設計担当者は検証する責任がある。
3.その仕組みを構築することで、組織として再発防止を可能にする。

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