GDPを超える指標の歴史的流れと日本の関与状況の最新報告

12月6日、8時から「日本Well-being計画推進特命委員会」が開催され、鈴木寛東大大学院・慶應義塾大大学院教授が「Beyond GDP(GDPを超える)指標にかかる歴史的流れ」について説明。次に外務省から「国連OCA(Our Common Agenda)におけるBeyond GDP指標作成に関して、その進捗とわが国関与の状況」について報告。
 Beyond GDP(=GDW)に関連する国際的な出来事とその内容は以下の通り。

1990年 国連・人間開発指数(所得やGDPの向上に加え、ウェルビーイング
   の観点から人間開発指数を開発)
2011年 OECDがBetter Life Indexを策定(社会の進歩をはかる、経済社会指
    標(11分野➡今の内閣府Well-beingダッシュボードの礎に)
2012年 世界幸福デー(3月20日)が国連で決議(ウェルビーイングを公共
    政策の共通目標とする)
2022-2023年 協議(OCAの中でGDPを超える枠組みを協議)
2024年9月 国連・未来サミット(GDPを超える枠組みについて、共通のビ
     ジョンと具体的な目標10~20項目を設定し、協定を結ぶ)
2025年 大阪・関西万博(Beyond SDGsが最終週のテーマ)
2027年 国連・SDGsサミット(SDGsの進捗達成・さらなる加速化に加え、
    Beyond SDGsについても議論開始)
2030年 SDGsの最終年
2031-2045年 次のグローバルアジェンダ(国連生誕100周年(2045年)に向け
      て、SDGsの次のグローバルアジェンダが始動予定)

 また、OCA(我々のコモンアジェンダ)におけるBeyond GDPは以下の通り。

1 我々のコモンアジェンダ(2021年)
 ●パラグラフ38:GDPを補完し進捗を測る尺度が必要。GDPは人々のウェ
  ルビーイング、地球の持続可能性(の課題)、市場外で提供されるサー
  ビス・ケア、経済の分配側面を説明できない。追加的な尺度を国家及び
  グローバルな統計制度に含め、定期的な報告を行う道筋について合意し
  なければならない。
 ●同39:GDPの再考に当たり、ケアエコノミー、インフォーマル経済を捕
  捉する必要がある。
2 HLCP(High-Level Committee on Programmes)報告書(2022年8月)
 ●HLCPが国連システム全体としてGDPを超える議論に貢献すべく報告書を
  作成。経済社会局、国連DP,国連CTADが中心。GDPを補完する、単一と
  いうよりも10~20の主要目標の策定を提言
3 Beyond GDPに関するポリシーブリーフ(2023年5月)
 ●Beyond GDPは、明確かつ共有された政治的コミットメントにより促進さ
  れ、かつ、強化された専門的能力と知見に支えられるべきとして、以下
  の三点を加盟国に提言。
  ⑴ 2030アジェンダに根差した「重要なものを評価する」ためのコンセ
   プト枠組みの構築に向けた政治的意思の確認。
   ① ウェルビーイングと主体(人間に焦点を当て、人々のニーズを反
    映)
   ② 生命と地球の尊重(地球を守り、未来の生命とウェルビーイング
    を可能に)
   ➂ 格差是正と連帯の強化(ウェルビーイングのより公平な分配)
  ⑵ 10~20以下の指標ダッシュボードを作成(2024年3月まで)すべく、
   独立ハイレベル専門家グループの設置に合意
  ⑶ 統計に関する能力構築とデータ収集にリソースを提供し強化。
4 未来サミット閣僚級準備会合(2023年9月21日)
 ●上川外部大臣のスピーチ「若者や未来世代は、世界を形作る主役です。
  地球規模問題の解決を自らの課題として取り組む、新しい価値観やライ
  フスタイルを持った世代が育つ環境をわれわれは提供しなければなりま
  せん。そのために、我々は『人間の尊厳』を守り、強化するた結束しな
  けれなりません。」
5 未来サミット
 ●2024年9月22~23日(於:ニューヨーク)、国連総会ハイレベル・ウィ
  ーク中に首脳会合として開催。
 ●目的①既存の国際的なコミットメント作成に向けた努力を加速すること
     で、現状をより良くし、
    ②未来に向けて、生起しつつある課題と機会に対処する。
6 未来サミット成果文書
 前文
 第1章「持続可能な開発及び開発資金」
 第2章「国際平和と安全」
 第3章「科学、技術、イノベーション、デジタル協力」
 第4章「若者及び未来世代」
 第5章「グローバル・ガバナンスの変革」一Beyond GDP
7  岸田総理の一般討論演説(2023年9月19日)
 ●国際社会が複合的危機に直面し、分断を深める今、人類全体で語れる言
  葉が必要です。「人間の尊厳」に改めて光を当てることによって、体制
  や価値観の違いを乗り越えて「人間中心の国際協力」を着実に進めてい
  けるのではないでしょうか。
 ●来年の未来サミットで、将来世代を念頭に議論を深めることを楽しみに
     しています。その先、ポストSDGsを今後検討していく上でも、「人間の
   尊厳」こそが国際社会の未来を照らす中核的な理念とならなければなり
     ません。


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