イデオロギー対立を超える「感性を育てる人権基礎教育」一PTA全国大会基調講演

PTA全国大会人権教育分科会での基調講演
 日本PTA全国協議会の全国大会の家庭教育分科会と人権教育分科会で基調講演させていただいたが、前者は親学、後者は「感性を育てる人権基礎教育」がテーマであった。
 後者の会場は北海道の当麻小学校体育館で、「かけがえのない人間として尊敬し合い、虐待やいじめのない社会を実現しよう」が研究課題であった。パネラーは私の他に、全国同和教育研究協議会委員長、北海道ウタリ協会理事、文科省社会教育課長補佐が加わり、同和教育の委員長と私がどのような激しい議論の火花を散らすのかに注目が集まり、会場は満杯であった。
 私は基調講演で子供の感性を育て「共感性」を育むことが人権教育の基礎であり、引きこもりなどの問題行動を「創造的退行」と捉え直し、閉じこもりという退行現象を通して、自分探しをしている、マイナスと見える現象の奥に潜んでいるプラス面を見つめてほしいと強調した。
 教護院「北海道家庭学校」の教育理念である「難が有るから有難い」に学び、マイナス思考からプラス思考に転換する大人の「主体変容」こそが問われている、「大人(教師・親)が変われば、子供も変わる」と強調した。

全国同和教育研究協議会委員長と一致した「主体変容」の視点

 この基調講演に対して、高松委員長は次のようにコメントした。

 「部落差別の現実も大きく変化してまいりました。・・・髙橋先生の話も聞きながら、人権基礎教育でおっしゃっている事柄は今までに大事にしてきたんだけれども、私たちの積み上げてきた同和教育の成果と教訓とも上手く結び合うと、一層人権教育というのは発展するのかなと思っています。・・・教師が変わる、親が変わるとおっしゃったのは、僕はもう実感なんですね。差別の問題に向き合った私なんかも、全く部落問題ゼロからの出発であった人間ですが、子供の目の前にある子供の現実を通して差別を捉える、あるいは差別とは一体何なのか、人権侵害って何なのかって捉えて、この子達の夢と希望を語れる、実現する教育をどう作るかっていうのは同和教育の私なりのテーマ、今も校長としてのテーマであります。そういった意味では、同和教育・人権教育というのは普遍的な営みを持っている教育だと確信しています。」

都教委主催の「人権教育」「道徳教育」講演会 

 石原都知事の教育改革のブレーン会議(私と後の大阪府教育長と乙武洋匡氏の3人)にも関わり、「子供の性規範を確立する」「大人社会の在り方を変える」「親・家庭を支援する」青少年育成総合対策推進本部を設置した。
 また、東京都教育委員会主催の「人権教育公開講演会」が拉致問題をテーマに砂防会館で開催され、私と横田夫妻で鼎談した。また、都教委主催の第1回「道徳教育公開講座」が国立市で開催され、日教組の先生方が結集したが、私の講演後は圧倒的な拍手で幕を閉じた。
 「自分の心のコップを上に向ける」「主体変容」の「一人からの教育改革」は左右のイデオロギー対立を超えた普遍性を持っていることを痛感させられた。


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