慰安婦の嘘と闘う日韓真実勢力のシンポと共同声明

●韓国最高裁『帝国の慰安婦』著者に”無罪判決”

慰安婦問題に関する韓国の著書『帝国の慰安婦』をめぐり、名誉棄損罪に問われた韓国・世宗大の朴裕河名誉教授の上告審判決で、韓国最高裁は10月26日、罰金刑とした2審判決を破棄し、審理をソウル高裁に差し戻した。問題とされた記述は「学問的主張又は意見表明と評価するのが妥当」と判断。名誉棄損は成立せず「無罪の趣旨」で差し戻すとした。
 朴氏は『帝国の慰安婦』で、日本が慰安婦を動員した道義的責任を追及しつつ、法的責任を問う根拠はないと指摘。元慰安婦の支援団体側は「日本軍の責任に目をつぶる主張だ」と反発し、学術的議論における名誉棄損罪の成立の範囲が争点となった。
 最高裁は、学問上の表現は趣旨と無関係に人権を侵害するなどの事情がない限り、正当な行為とみるべきだと判示し、「表現が適切かどうかは刑事罰ではなく、公開討論を通じて定めるべきだ」と無罪判決を言い渡した。
 この最高裁判決は、『反日種族主義』(韓国で10万部、日本で44万部のベストセラー)にもとづく慰安婦に関する柳前延世大学教授の講義が、生存している慰安婦への名誉棄損に当たるとして2020年11月、検察によって起訴され、昨年11月に1年6か月の懲役刑を求刑された裁判に大きな影響を与えるものと思われる。
 本来なら判決が下されるべき今年3月の公判が開かれると裁判長が、次回の日程を示さないまま裁判の「空転」を宣言し、その理由として、①似たような事件として必ず参考にすべき朴教授の事件に対する最高裁判決がまだ出ていない、②事件を起訴した検事が、当然提出しなければならない「慰安婦強制連行の証拠」を未だ提出していない一ことを挙げたからである。
 柳前教授は『反日種族主義』をはじめとする強制連行説を否定する資料を多数提出していた。その結果、検察は柳前教授の主張を崩すだけの「慰安婦強制連行の証拠」を提出することができなかったということである。

●歴認研の韓国訪問と「日韓合同シンポジウム」

 歴史認識問題研究会は、西岡力会長、髙橋史朗・江崎道朗副会長、島田洋一幹事、勝岡寛治事務局長、長谷亮介事務局次長の6名で、3月15日から1週間韓国を訪れ、『反日種族主義』の共著者の方々と議論を深め、慰安婦像前の集会にも参加し、西岡会長の挨拶に万雷の拍手があり、反対派の集会の参加人数をはるかに上回る「アンチ反日」の韓国人が韓国旗と日の丸の旗を掲げて結集した。
 昨年11月に東京で「第1回慰安婦問題日韓合同シンポジウム」を開催し、ソウルの中心地に位置するプレスセンターの会議場には、約百人の韓国人が韓国の国歌斉唱に続いて、君が代も斉唱した。
 そして9月5日、ソウルで「第2回慰安婦問題日韓合同シンポジウム」が開催され、ラムザイヤーハーバード大学教授、李栄薫前ソウル大学教授らの祝辞の後、日韓双方の研究者が各3人発表を行った。詳しくは、月刊『正論』11月号の西岡力「『慰安婦の嘘』との闘い ソウル集会の意義」を参照されたい。来年の7月10日に「第3回慰安婦問題日韓合同シンポジウム」を開催することが既に決定されている。
 最後に、第2回シンポジウムの翌日に発表した「慰安婦の嘘と闘う日韓真実勢力共同声明」が、日韓の慰安婦問題をめぐる現状における課題がほとんどすべて凝縮して詰め込まれた文面になっているので、全文を掲載する。

慰安婦の嘘と闘う日韓真実勢力共同声明

 慰安婦は日本軍が管理した公娼だった。貧困のために両親が受け取った前渡し金を返済するために売春に従事した女性たちだった。その時代を生きた日本人、韓国人はそのことをよく知っていた。
 南労党出身の在日朝鮮人共産主義者はこう語っていた。「故郷の済州島の村では早く夫を亡くした未亡人が村の若い娘を連れて中国で慰安所を経営し、大変カネを儲けた。そこで、村人たちはこぞって家の娘も慰安所で働かせて欲しいとその女性に頼み、多数が金儲けのために慰安婦になっていた」
 だから、反日政策を進めた李承晩政権も日本との国交正常化で慰安婦への補償は求めていない。
 私たちは昨年に東京で、そして昨日ソウルで「慰安婦問題日韓合同シンポジウム」を開催して、以上のような歴史的事実を確認した。
 ではなぜ、慰安婦は公娼ではなく、日本軍に強制連行され、性的奉仕を強要された性奴隷だという、嘘が拡散し、日韓関係を悪化させてきたのか。
 その元凶は、強制連行、性奴隷説を広めていった日本と韓国の嘘つき勢力だ。日本の朝日新聞が職業的噓つきである吉田清治の強制連行ウソ証言を繰り返し大きく報道した。日本人活動家が韓国で元慰安婦らを探し、日本政府を訴える裁判を起こした。原告の元慰安婦は強制連行されたとは言っていなかったのに、その証言を捏造したのも朝日だ。
 挺対協と遺族会という韓国の二大反日団体が日本発のこの嘘を韓国で大々的に広めた。それを韓国の新聞、テレビが第二の独立運動であるかのように大きく報じた。そして見過ごせないのは日韓の噓つき勢力が北朝鮮と緊密な連携を取っていたことだ。今回、正義連の元理事長の国会議員と現理事長が東京で北朝鮮の手先である朝鮮総連の行事に出たことがそのことを象徴している。
 ところが、日本と韓国の真実勢力は民族感情などのためなかなか協力することが出来なかった。日本では30年間、真実勢力が闘いを続け、朝日が吉田証言を嘘だと認めて過去の記事を取り消すところまで至った。韓国でも、2019年からここ、慰安婦像のすぐ横で「慰安婦は売春婦」「慰安婦像撤去」を叫ぶ韓国の真実勢力が反撃を開始した。そしてついに昨年と今年、東京とソウルで日韓の真実勢力が合同シンポジウムを開催することが出来た。
 私たちは宣言する。日韓の真実勢力が力を合わせて、日本、韓国、北朝鮮の嘘つき勢力の陰謀と工作を暴露し、彼ら、彼女らの責任を追及する。韓国と全世界に立てられた嘘の象徴である慰安婦像を必ず撤去させる。
               2023年9月6日 ソウル 日韓真実勢力一同
 



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