「共同養育」の必要性と法制審家族法制部会案、「民法等の一部を改正する法律案要綱」の問題点

 わが国における「実子誘拐」問題について、「実子誘拐・共同養育・共同親権問題に関する一考察一EU議会決議・国連への対応はいかにあるべきか一」(『歴史認識問題研究』第7号、2020)と、「法制審家族法制部会中間試案の問題点とその背景一中華民国の戸籍法・民法と親教育に学ぶ」(同第11号、2022)に詳述したが、1月末に日本政府より「離婚後共同親権の導入」が発表され、これに関連して、法務省法制審議会家族法制部会案として公表された「共同親権」を含む複数の案は問題解決にはならない。その理由については後述する。
 まず「共同養育」に関連して、国連人権理事会が正式に受理している切り離しの影響資料 サイト; https://www.timetoputkidsfirst.org/why-children-need-shared-parenting サイト Time to Put Kids First の冒頭部分の日本語訳を紹介したい。

なぜ子供に共同養育が必要なのか
共同養育がないと子供は・・・
・より薬物中毒やアルコール中毒になりやすくなる
・2 倍、高校からドロップアウトしやすくなる
・4 倍、情緒障害や行動障害になりやすくなる
・7 倍、未成年での妊娠となる
・虐待やネグレクトにより遭遇しやすくなる

共同養育がない事により子供はこの様になっています↓
・若年自殺の 63%
・若年収監の 85%
・行動障害を持つ子どもの 85%
・薬物障害のリハビリを行う若年者の 75%
・高校からのドロップアウトの 71%

共同養育に関し、離婚し別居した親や子供は・・・
・子供に両方の親と同じだけ過ごして欲しいと思う母親は 7%のみ
・85%の子供がもっと父親と過ごしたかったと思っていた
・70%を超える子供が、父親がもっと自分達と母親と同じだけ過ごしたかっ
 た事を知ってい たが、母親がそれをさせなかった事も知っていた。
・全体の 70%の子供がどちらの親とも同じだけ過ごせた事が最善であったと
 信じている中 で、実際にどちらの親とも同じだけ過ごした子供の 93%が
 それが最善であったと信じてい る。

そして、世界的な権威である 110 人の専門家はどの様に結論付けているか?

→全ての年齢の子供にとって、共同養育は、情緒的、行動的、また身体的な健全性の基準に おいて、広範囲により良い結果へと繋がっている
・若年事の様々なリスクを少なくする
・主要な社会問題を減少させる
・子供に好まれる
・専門家に承認されている

●家族法制部会案・「民法等の一部を改正する法律案要綱」の問題点

 前述した法制審家族法制部会案の第一の問題点は、実親間における関係性を、子供の実親の一方との関係性を失わせる要素として扱っていること、第二の問題点は、一方の実親との日常生活が失われている片親疎外症候群の症状も回復されていない子供の状態が、子供の実親の一方との関係性を失わせる要素として扱われる可能性が高いことである。
 また、「民法等の一部を改正する法律案要綱」の内容も解決策にはならない。むしろより悪化させる可能性を秘めている。その理由は以下の通りである。

⑴ 実親双方間における関係性を、共同養育や共同親権を行わせない理由に含めている。日本においては長年、子供の連れ去り/切り離しを行ってきた一方の実親やそれを指南する弁護士が、しばしば証拠の偽装まで行いながら父母間の葛藤というものを演出したり、実際に関係を悪化させ、子供の実親との日常的な養育関係を奪う理由として膨らませてきた。実親と2週間以上切り離されている子供のPAS/片親疎外症候群の状態(国際的には、2週間以上子供が実親双方と切り離される事のない運用が行われている)を子供の意見表明権として日常的な実親双方との共同養育を奪う理由として証拠の偽装も含め膨らませてきた実態と同様、共同養育や共同親権を行わせない理由であってはならない。ここには、フレンドリーペアレントルール(実際に子供の双方の実親との日常的な共同養育を実現する親を法律的に擁護する基準)が置かれるべきである。

⑵ 弁護士がより子供に関わる法的争い、養育費に関する法的争いに関与する内容となっている。上記の、有罪となる場合の虐待/ネグレクト/遠隔地の3つのケース以外は必ず共同養育とする運用が、包括的に国際法に準拠した日本への勧告で求められており、それに従い改正する事で、日本の有益な人材である多くの弁護士は、日本に暮らす子供たちの人生にダメージを与えるのでなく、日本の暮らしを豊かに育てる他の分野に力を注げる様になる。養育費に関しても海外において既に行われている様に、共同養育の中で、財産収入差を税務署関与で自動的に調整するだけで済むので、有能な弁護士が関与する必要はない。










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