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井の中の「私」

ついさっき、自分でもどうしてか分からない位、
心が揺さぶられる光景に出会いました。
涙まで出てきちゃって、ハタから見たらただの「情緒不安定な妊婦」かもしれないですが、
いや、そういうんじゃないぞ、これは・・・と思うので書きます。

臨月に入り、体重管理の指導をされて、さっきまで散歩に出ていたんですね。
お腹が重くて動きたくないもんだから、まあ、厳しく言われてやっと、
文字通りの〝重い腰〟を上げて行っていました。

雨上がりの近所の道をプラプラと。

そうしたら、どこからともなく、威勢のいい大きな声が。
見ると、そこは消防署の施設で、普段は「小さな広場」としか思っていなかった場所なんですが、
そこに10人位の消防士の方が集まって、放水ホースを引っ張ったり、ハシゴを運んだり・・大声で掛け声を掛けながら、「訓練」していたのです。

良くは聞き取れなかったけど
「◯◯完了!!」
「〇〇確認!〇〇準備!!!」「はいっ!!」
のような掛け声。
テキパキと、それぞれが流れるようにそれぞれの分担をこなし、
重たそうな人形を簡易の建物の2階から丁寧に降ろし、シートに寝かせ、優しくハーネスを外し・・・と、
日も暮れた雨上がりの霧のなかで、
ヘッドライトの明かりを頼りにそんな訓練をしていました。

人の命を救うために、こうして日々、研鑽を積んでいる人が居る・・・
分かっていた事のはずなのに、目の当たりにして、何だかとても心が震えてしまって。

思えば、産休に入って、平日に会社に行かずに家の周りで色々するようになってから、改めて感じる「人々の営み」がありました。
レジを打ってくれるスーパーの店員さん、運送会社の受付の方、荷物を運んでくれる方、ビルの清掃の方、お昼にコンビニで忙しそうに食事をとる工事現場の方、真夜中に道路工事をする方、夏に伸びすぎた草木を切る職人さん・・・
みんなみんな、何かしら「誰かのためになる何か」を営んで居るんだ・・・。
こんな当たり前のことだけど、
これまで自分のことで精一杯で、昼間はもっぱら会社に居て、平日の日中にどんな「社会」が動いているのか、見えていないところがいっぱいあったのです。

それを薄々感じながら産休生活を送っていましたが、
バーンと突きつけられてハッキリ意識させられたのが、今日の光景でした。

時間に追われて、自分だけがすごく忙しい気になっていたり、
自分だけが重要な仕事を担ってる、と思っていたり、してなかったかな・・・そう自分に問うと、NO!!とはっきり否定できないところが正直あります。

私は特に、大学3年から始まるアナウンサー試験を受けてそのままTBSに入社しているので、就職活動を通して色んな企業の話を聞く、ようなことをして来ませんでした。
そんなこともあって、日常の中の、目に入る全てのものが、「誰か」の手で成り立っている。
この基本的なことに、全く気付いてなかったかもしれないなあと、何だか涙出ちゃったんです。

テレビ局、という「井の中」にいる「私」ですね・・。

おっと、涙もろくなってるぞ私、これはホルモンのせいだ!とも思ったんですが、
その後テクテクと歩いて帰りながら、色んな思いが冷静に湧いてきたので、
こうして記そうと思いました。

小さい子供のための「職業体験パーク」のようなところがありますが、
そういうところの大人バージョンがあったら行ってみたいなぁ・・・。