仕事に役立つ数学

 鈴木伸介著「仕事に役立つ数学」を読みました。著者は株式会社数学アカデミー代表取締役、おとなのENJOY数学クラブ主催。医学部受験に特化した数学指導や企業を対象にデータ分析コンサルティングを行っている方です。数学好きの理系頭としては読まないわけにはいきません。

 最初は「割合」についてでしたが、流石にこれは簡単すぎるのではないかと思いました。しかしながら、私は数学が好きなわけで、苦手な方というのは「割合」あたりで数学が嫌いになってしまうなんて言う話も聞いたことがあるような気がします。著者は数学の専門家ですが、分からない側の立ち位置になって、難易度をうまく調整しているのかなと思いました。しかし、この調整は難しいと思います。

 「平均のワナ」なんていうタイトルがありましたが、我々物流業界でも平均なんて言われても信用しない方が多いでしょう。出荷量平均30トンと言われても、どれだけ振れ幅があるかが分からなければ何もわかりません。本書では「振れ幅」を「バラつき度合い」という言葉で、それを調べるための「ヒストグラム」と「分散・標準偏差」を解説しています。「数学好き」なんて言っておきながら、「ヒストグラム」も「分散」もよく覚えていないという残念なところが露呈してしまいましたが、この辺りは実際の出荷データ等を貰う習慣をつけて、算出してみたいと思います。

 移動平均は会社の業績を分析するときに使ったことがありますが、当時はあまり意味が分かっておりませんでした。本書で詳しく説明していただき、短期的な変動を抑えて、長期的な動きをとらえるものだということが理解できました。

 日本の紙はA4とかB5なんて言う企画になっていますが、いずれも長手を半分にしたものが次の数字、つまりA4を長手で半分に折ったものがA5になるということでした。そして、その長方形の短手:長手=1:√2になっているということでした。この1:√2を白銀比というそうで、法隆寺の五重塔や伊勢神宮にも使われているのだそうです。ここは、もうちょっと踏み込んだ解説が欲しいところでしたが、「白銀比 法隆寺」でググったら出て来ました。

 興味深く読ませて頂きましたが、通信販売における損益分岐点の算出法などの解説で配送費が230円に設定されていました。うーん、これはちょっと安過ぎるのでは。運送会社としては、そこがどうしても引っかかってしまいました。

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