実子誘拐ビジネスの闇


 池田良子著「実子誘拐ビジネスの闇」を読みました。気になっていた本ですが、著者を存じ上げませんし、スルーしようと思いましたが、国会質疑などでも実施誘拐が取り上げられていましたので、手に取りました。巻末にある著者のプロフィールが「池田良子 ジャーナリスト。ヒューマニスティックな視座で、世の中の不条理や不正義を問う!」となっており、結局どのような方なのか分りませんでした。

 「実子誘拐」という言葉の中に矛盾をはらんでいるような気がしましたが、要は離婚された夫婦の間で子どもを取り合うような状況の中で、どちらかがどちらかの許可なく連れ去ってしまうことを言うようです。子どもを連れ去られてしまう被害者側はほとんど男性のようで、中には不当に連れ去られ、DVをでっち上げられるなんて言うこともあるようです。そうした手口の詳細が書かれていますが、裁判官まで巻き込んで非常に残念なことが書かれていました。

 一方で、本書で実施誘拐の加害者とされる女性が、産経新聞に送信したメールの内容に「この事件を担当されている各紙、朝日新聞、日経新聞、読売新聞、毎日新聞の記者の方々にはすべて直接お目にかかり、取材を受けました。」というところがあります。それについて、著者は「産経新聞に自らを取材するように『圧力』をかけるメールを出していたのでsる。『他の新聞はすべて自分への取材をしたのだから、産経新聞も取材しろ』と恫喝するようなメールをみるかぎり、」と書いていますが、正直、「圧力」、「恫喝」なんて言う言葉が当てはまる内容には見えません。「イデオロギー」という言葉も登場しましたが、この言葉も共産主義・全体主義に限定しているような使い方で違和感がありました。大変世間の耳目を集めた、目黒で虐待死した女の子についても書かれていましたが、それと実子誘拐を結び付けているところも、ちょっと無理筋な気がしました。

 大変な内容を主張しているのですが、著者の素性もよくわからず、先述したような違和感を覚える記述もある中ですが、「実子誘拐」をビジネスとして利権化している方々の実名がどんどん出て来ました。弁護士や裁判官ですので、存じ上げない方が多いのですが、薄っすらお名前を聞いたことがある方も言いました。これだけ実名を出していると、事実でなければ即刻名誉棄損になってしまうでしょうから、そういう意味では説得力を感じることも出来ました。

 こうした状況を正すために、共同親権も議論に上がっており、法制審議会の審議に対象になったそうですが、この審議会の中にも「実子誘拐ビジネス」に関わる方がいるそうなので、共同親権が採択されることはあり得ないようです。困難女性支援法の有識者会議には、その法律によって補助金を貰うColaboの代表がいたり、太陽光発電推進の有識者会議には、その企業の社長の妻がいたりなんて言う話は聞きますが、同様の例はもっとたくさんあるのでしょうね。

 何よりいちばん思うのは、一度は結婚して子どもまでできた幸せなご夫婦が、どうしてそんな状況に陥ってしまうのかということです。ここが一番残念かもしれません。

 著者は世界情勢や、全体主義・共産主義の歴史にも詳しいようで、「実子誘拐ビジネス」を行っている層のバックボーンとなる思想にも詳細に言及されていました。「池田良子」は偽名で、故あって福田ますみさんあたりが書いているのかなと思いました。

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