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風の通る環境

ここ最近の暑さは本当に凄いです。
梅雨明けも異例の早さのようで、あっという間の夏ですね。
我が家で飼っている犬も若干の夏バテ感を感じているようです。

今週は台風予報なので一時的に暑さは抑えられるかと思いますが、この台風が過ぎたら本格的な夏模様となりそうです。


私の小学校の頃は教室にクーラーはなく、暖房だけがあるような環境だったのですが、最近は意識としては暖房よりも冷房に対しての意識の方が強いように感じています。

やはり子どもの施設においては日射病などのリスクを懸念してのことだと思われます。

しかし、日本全体での電力ひっ迫の問題から最近は節電への意識も高まっており、その部分での対応策の相談というのも最近は増えてきています。

そこで、話にあがるのが太陽光発電。確かに太陽光発電は自然の光を利用した発電であるので非常にエコなように感じます。現実的に節電になっている部分もあるかと思いますし、屋根があるのだから、その部分で電力を賄えるようにしようというのは自然の発想のように思えます。

しかし、太陽光設備はあくまで機械ものです。ずっと100%可動出来るものでもなく、年々メンテナンスの負荷も出てきてしましますし、故障や取り換えのリスクも付きまといます。
私がここで伝えたいことは太陽光設備などはあくまで+αの補助となるものという意識を持っておくことが大切であるということです。
ここでは太陽光設備を例にあげましたが、電気・機械設備全般で同様の事がいえるかと思います。空調設備・床暖房などもその類です。

ここで意識しておいた方が良いと思う事が、設備に頼るのではなくまずは建築で解決できることを意識するということだと思います。

方位を意識しながら、深い庇を出して、直射日光が入らないようにし、2面以上の通風経路を確保する。これだけで意外と涼しい風を屋内に取り込めたりできます。

今現在工事中の北九州の幼稚園も深い庇を出しながら基本的には2面以上の開口部を設けられるようにすることで、明るく風通しの良い教室となっています。

勿論真夏日などの本当に猛暑の時などは機械設備に頼らざるを得ない時があるかもしれませんが、可能な限り、機械設備に頼らなくても良い時間を増やしてあげる事が大切かと思われます。

自然の採光も同様ですね。

似たような話で最近話にあがるのが突き当り廊下です。
突き当り廊下とは廊下の最終地点が外部や窓に面さずに居室につながるような廊下です。
片廊下であればまだ良いのですが、両側居室の中廊下の場合の突き当り廊下は自然採光・通風も取れない環境として非常に心地よくない環境となります。
一方で突き当り廊下とすることで、居室を大きく確保出来たりします。間取りだけを見ていると、どうしても居室の大きさを優先しがちになってしまいます。居室の用途上どうしてもそれだけの広さを確保する必要があるのであれば、当然、必要面積を確保したうえでの計画が必要不可欠となりますが、何となくもったいないから部屋を広くしたいという感覚の場合も多い気がしています。

一般的には多くに方々は基本的には間取りに目がいってしまい、そういった採光・通風まで意識が及ばないことは当然だと思うのでご相談をいただいた時は丁寧に今のような、廊下部の採光、通風のお話をさせていただいて優先順位から取捨選択できるようにさせていただいています。

先に述べた機械設備に頼らない建築というのは有事の際にも非常に有効的です。有事の際の為に自家発電設備を設けたいという話もここ最近多い話です。簡易的な携帯の充電レベルの話であればそこまで難しくはないのですが、大きな動力を使うような設備を動かそうとするとそれなりに大規模な自家発電設備が必要となります。
勿論その施設の用途に応じて自家発電設備が必要な用途もあるかと思いますが、大きなコストがかかる為、そこに初期投資をするよりも機械設備が稼働しなくとも心地よく過ごせるよう、断熱、窓の位置、大きさ、庇などをきちんと設け、自然環境をどれだけ屋内に上手く取り込めるかを意識して整える事が大切だと思います。

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