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スプリングトレーニング その1

3月10日に今シーズン用のビザが無事に手元に届きまして、その日のトロント発最終便でアリゾナに到着しました。当初の予定では現地時間の午後10時に到着する予定でしたが、2時間ほどの遅延で到着したのが0時過ぎ。(※ちなみにトロントとアリゾナの時差は3時間です。)出発時にトロントでは氷点下で雪がちらついており、出発前に機体の入念な“解凍”作業が必要なためでした。

スケジュール

私が担当したのはシンシナティ・レッズの練習施設で行われるマイナーリーグの対外試合、および紅白戦でした。

メジャーリーグ・スプリングトレーニングとの違い

メジャーリーグに所属する選手に加え、契約上は所属がマイナーリーグでも招待された選手がメジャーリーグのスプリングトレーニングに参加することとなります。それらの選手たちが行う試合は観客収容設備の整ったスタジアムで開催されます。

余談ですが、アリゾナには15のメジャーリーグ球団が練習施設を構える中、スタジアムは10個だけしか存在しません。

その理由は、そのうちの7つが2チーム共用となっているためです。例えばスコッツデールにあるコロラド・ロッキーズ(写真左)とアリゾナ・ダイアモンドバックス(写真右)の施設はスタジアムを挟んで左右に分かれています。

スコッツデールにあるソルトリバーフィールド

残り半分はフロリダ州になりますが、15球団がフロリダの至る所に拠点を置くため、アリゾナに比べると移動が大変になります。

アリゾナでは最長でも移動時間が1時間なのに対し、フロリダは試合に際して長時間の移動を要します。

これまでにも既に効率化の観点からフロリダからアリゾナに移った球団がありますが、近年はフロリダ州内でも、ナショナルズ、アストロズやブレーブスといった移動を試みた球団があります(画像内のブレーブスの拠点は移動前のもの。2019年からツインズとレッドソックスが拠点を持つフォートマイヤースとレイズのポートシャーロットの間のあたりに移転)。

話を戻しまして、メジャーリーグの選手たちは2月中旬には練習施設入りし、2月最終週からはいわゆるオープン戦をスタートさせます。調整が必要な選手は随時マイナーリーグの試合に参加し、ピッチャーは決まったイニング、もしくは投球数を終えると試合中でも切り上げますし、バッターは打順を無視して打つだけ打ったら切り上げるといった具合です。

一方で、マイナーリーグの選手たちは3月の頭に現地入りしたのち、2週目から対外試合を開始します。試合を行うのは防球ネットで囲まれた“バックフィールド”と呼ばれる練習用のグラウンドです。トリプルA、ダブルAがホームで試合を行うときはシングルAの選手が対戦相手の施設に出向き、その逆のパターンと合わせ試合をこなしていきます。

メジャーリーグの試合を担当する審判は基本的にメジャーリーグとフルタイム契約をしている審判か、袖番号を与えられたマイナーリーグに所属する審判となります。マイナーリーグの試合を担当するのはそのほかのマイナーリーグ審判員たちで、各チームに縦割りで割り当てられます。そのため、伝統的に若い審判が経験のある審判から学ぶ場としても活用されてきました。

試合以外の活動

スプリングトレーニング中は毎日午後1時に始まる試合を担当します。それ以外の時間は基本拘束されませんが、ほとんどの場合はジムに行ったり、食事に行ったりと、クルーで団体行動します。特にアリゾナはすべてのクルーが1時間圏内にいるため、交流を深める機会が多くなります。
また、アンプスケア(UMPS Care)と呼ばれるメジャーリーグ審判員の寄付によって慈善活動を行う団体が主催するチャリティーボウリングトーナメントに参加した、ルール変更やその他業務上の情報を確認するミーティングに参加します。そこでの内容でみなさんと共有できるものも後々お伝えできればと思います。

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