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ダートを走っているからといってダート馬とはかぎらない

私にとってのベストレースのひとつに、マヤノトップガンが勝った1997年の天皇賞・春がある。サクラローレル、マヤノトップガン、マーベラスサンデーという3強の争いになったこのレース。休み明けで気がはやる横山典弘騎手のサクラローレルを追いかけるように武豊騎手のマーベラスサンデーが仕掛け、2頭のデッドヒートで幕を閉じるかと思われた矢先に、最後まで死んだふりをしていた田原成貴元騎手のマヤノトップガンがゴール前で大外から強襲し大逆転した。3分14秒4という勝ち時計は、当時としては破格のレコードタイム。超一流馬同士の力と力のぶつかり合い、そして名騎手同士の心理戦や駆け引きが凝縮されたようなレースであった。あれから20年近くの歳月が流れたが、今、改めてレース映像を観ても心が震える。

マヤノトップガンにとっては、残念ながらこの天皇賞・春が最後のレースとなってしまい、その他、宝塚記念や有馬記念、そして菊花賞を含む、G1レースを計4勝して引退した。実績だけを振り返ると、どこからどう見ても芝のレースを得意とする長距離馬であるが、実はマヤノトップガンは新馬戦から7戦目までをダートのレースに出走した。のちに菊花賞を制し、天皇賞馬に登り詰めた馬が、ダートの1200m戦を6回も走ったのである。

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