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速くて強い逃げ馬がいるときは、2着は穴を狙え【超・馬券のヒント第55回】

馬単や3連単が全盛の時代において、もはや万馬券など珍しくなくなってしまったが、私が競馬を始めた頃は、万馬券という言葉には崇高な響きがあり、万馬券を獲ることはひとつのステータスであった。当然のことながら私も、万馬券に憑りつかれ、とにかく万馬券を当てることを目指して馬券を買っていた時期がある。後楽園ウインズに足繁く通っては、小さなモニターの画面を見上げながら、1日に1本出るか出ないか分からない万馬券を虎視眈々と狙っていた。

そんな私が初めて万馬券を手にしたのは、1992年の日本ダービーであった。戸山為夫調教師によって坂道で鍛え上げられたミホノブルボンが、皐月賞に続き日本ダービーも逃げ切ってみせたのである。2着には16番人気のライスシャワーが粘り込み、馬連で2万9580円という超万馬券であった。

マグニチュードの仔にとって2400mの距離は長いという声も多かったが、ミホノブルボンがバテて止まる姿を想像することは難しかった。ミホノブルボンは単なるスピード馬ではなく、スタミナとパワーも兼ね備えた、当時の私が知る限りにおいて最強の逃げ馬であったのだ。

そんなミホノブルボンも最初から逃げ馬であったわけではない。

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