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調教で動かないのはステイヤーの証【超・馬券のヒント第52回】

競馬を始めたばかりのころ、予想をするにあたって、この言葉が関係者から出てきたら買わないという自分の中でのNGワードがあった。たとえば、「前走は度外視」、「気性が難しい」などの言葉が出てくると、その馬は馬券の対象から外した。今思えば笑ってしまうぐらい初心者らしい予想法ではあるが、その中にもひとつだけ真実が含まれていた。それは「調教は動かない」というNGワードである。なぜかというと、それは調教において「動き」が悪かったことを示唆しているからである。レースに臨むにあたっての調教で、陣営から「動かない」という主旨のコメントが出てきた馬は走らないのである。

実は、日経新春杯のシュヴァルグランがそうであった。栗東のCWコースにおける最終追い切りのタイムは、7ハロン99秒7―13秒6という、オープン馬とは思えない平凡な時計であった。この追い切りを受け、友道康夫調教師は「調教でそんなに動く馬じゃないから」とコメントした。この連載上でシュヴァルグランに本命を打っていた私は、この言葉を見て青ざめた。私の心配は見事に的中し、シュヴァルグランは断然の1番人気に応えることができず、レーヴミストラルの鬼脚の前に屈してしまった。連対を確保したものの、やや物足りない走りであったことは否めない。

調教で「動かない」ことには、いくつかの理由が存在する。

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