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名馬は2度続けて負けない=同じ過ちを繰り返さない

名馬とはどのような馬か?名馬の定義は様々であり、競馬にたずさわる者が10人いれば、10とおりの定義があるはずだ。競馬評論家の大川慶次郎氏は、「僕は、違う時代のどの馬が強いかって勝手に考えるのは、馬に対してちょっと気の毒なような気もするし、順番はつけにくいんだけど。ただ、馬は(中略)体調が悪くても、それを克服して、着外にならないのが強い馬だという考え方なんですよね。ですから、僕が選ぶのはシンボリルドルフ。3着が1回、ジャパンカップね。それから秋の天皇賞で2着、あとぜんぶ勝ったでしょ」と語った。その他、「2度続けて負けない」というものがあると私は思う。同じ相手にという枕詞言葉をつける場合もあるが、名馬は同じ過ちを2度繰り返さないという意味である。

大川慶次郎氏が名馬に挙げたシンボリルドルフは、その戦歴を見ると、たしかに大きく敗れることがなく、しかも続けて負けていない。これぞ名馬であることに異論はないだろう。そんな20世紀を代表する名馬でも、左前肢繋じん帯損傷で引退レースとなったアメリカのG1レースは除き、2度もレースで敗れたことがある。天皇賞・秋でギャロップダイナに敗れて馬房に戻ってきたシンボリルドルフの目に涙が浮かんでいるのを見て、写真家の今井壽惠氏が「ルドルフかわいそう、泣いている」と言った話は有名である。つまり、どんな名馬であっても、競馬が勝負ごとである以上、敗れてしまうこともあるということだ。

敗れたその次のレースこそが重要である。

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