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“勝つためのポジション″を走った馬が勝つ

競馬には勝つためのポジション(以下、勝ちポジ)が存在する。競馬は強い馬が勝つわけでも、勝った馬が強いわけでもなく、勝ちポジを走った馬が勝つということである。そして、ダートレースは、芝のレースに比べて、勝ちポジが限定される。芝のレースよりもダートレースの方が勝つために走らなければならないポジションが少ないということだ。そのため、ジョッキーたちは勝ちポジを走らせようとしてポジション争いが激化し、当然のことながら、勝つチャンスがある馬も限られてしまう。走る能力の差というよりは、道中をどこのポジションで走られたかによって、勝つチャンスがある馬とない馬に分かれてしまうのだ。

勝ちポジという概念を私が発見したのもダートレースにおいてであった。2008年の平安Sで、角田晃一元騎手が騎乗した6番人気のクワイエットデイが、まるでそこに一本のライン(道)があるかのようにスタートからゴールまで駆け抜けた姿を見て、競馬には勝つためのポジションがあることを確信したのである。それ以来、京都1800mダート戦において何度も勝ちポジを走って勝つ馬を見続けてきた。人気馬であれ、人気薄の大穴であれ、勝つ馬はほとんどいつもと言ってよいほどに勝ちポジを走っているのだ。勝った馬がそのポジションを走っているのではなく、そのポジションを走ったからこそ勝ったのである。

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