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現代のダービーにおいて「運が良い」とは内枠を引くこと

競馬は強い馬が勝つわけではなく、勝った馬が強いわけでもなく、勝つためのポジションを走った馬が勝つ。ほとんどの人は賛成しないかもしれないが、これは大切な真実である。力が抜けている馬であれば、どこのポジションを走ろうとも勝つことができる。後ろから行こうが、大外を回そうが、脚の速さの違いでねじ伏せることができる。しかし、各馬の実力が拮抗する重賞レース、特に世代の頂点に立つ馬を決める日本ダービーには、勝つために走るべき明確なポジションが存在する。

競馬には勝つために走るべきポジションがあることを最初に発明したのは、かつて府中2400mのスペシャリストと呼ばれた嶋田功元騎手であった。日本ダービーやジャパンカップ、オークスなどの大レースが行われる東京競馬場の芝2400mコースにおける勝ち方を、レースを観たり、実際のレースで試したり、とことん研究し、その結果、1972年から74年にかけて、タケフブキ、ナスノチグサ、トウコウエルザでオークスを3連覇するという偉業を成し遂げた。その3つのレースは、ほとんど同じようなポジションを走っての勝利であった。しかも、ナスノチグサの1973年には、翌週の日本ダービーまでタケホープで制してみせたのだ。そう、あのハイセイコーが敗れた日本ダービーでもある。

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