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オークスは「桜花賞で外を回らされて敗れた馬」が巻き返す

オグリキャップが引退した年に競馬を始めた私が、四半世紀にわたって日本の競馬を見つめてきた中で、大きな潮流の変化のひとつとして、レースのスローペース化がある。その根本の原因は定かではなく、またひとつでもないが、日本の競馬がヨーロッパの薫陶を受けてきたことの影響は大きい。日本の最強馬にとっての最終目標が凱旋門賞であることからも分かるように、日本の競馬関係者はヨーロッパに傾倒し、その傾向はますます強まっている。海外から輸入される種牡馬も繁殖牝馬も欧州の血を含んでいることが多く、M・デムーロ騎手やC・ルメール騎手を筆頭に、日本で騎乗している外国人も欧州のジョッキーがほとんどである。そういった流れの中で、少しずつであるが確実に、日本の競馬はスローペース化してきた。

レースがスローペース化すると、競走馬やジョッキーに問われる資質も違ってくるのはさることながら、実戦のレースにおいては、インのポジションを確保することが極めて重要となる。大前提として、スローペースの競馬においては、馬群が固まり、縦長ではなく横長の隊列になるため、馬群の内を走った馬と外を走った馬の距離ロスの差は大きい。内を走った馬が脚をためられる一方、外を回らされた馬は知らずのうちに脚を失ってしまうことになる。

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