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見ればその馬のすべてが分かる、ウソをつかない立ち写真

馬の立ち写真を見ればすべてが分かる。その馬の肉体的特徴から距離適性、調子の良さ、気性に至るまで、たった1枚の写真の中には実に多くの情報が詰め込まれている。「調子が良いと言われていますが、どうやらピークを過ぎてしまったようです」、「精神的に参っています」など、馬体を通して馬は雄弁に語りかけてくる。私は馬券の予想における大きな部分を、馬の立ち写真を見ることに依っている。どうしても先入観や主観にまみれてしまいがちな私の予想を、立ち写真が矯正してくれると言ってもよい。

立ち写真をパッと見ることで分かるリアルタイムな情報も多いが、時系列に並べて見てみるとさらに伝わってくることもある。かつての立ち写真と今回のレースにおけるそれを見比べてみるのだ。そうすると、調子のアップダウンや馬体の成長の有無を把握できる。その馬が絶好調であったときの馬体を目に焼き付けておくと、今回の体調や仕上がりが手に取るように分かるし、若駒のころの馬体を覚えておくと、古馬になってからの成長の度合いが見て取れるのだ。何と言っても素晴らしいのは、立ち写真はリップサービスをしないし、決してウソをつかないことである。

今週の産経大阪杯に出走してくるキズナは、順調に行けば、今年かなりの活躍が見込める馬である。日本ダービー馬をつかまえて、活躍が見込めるという表現は失礼にあたるかもしれないが、世界を意識できるほどの走りを見せてくれるという意味である。昨年の春の天皇賞春後に骨折が判明し、前走の京都記念でおよそ9か月ぶりにターフに戻ってきたキズナの立ち写真を見て、私は驚きを隠せなかった。なぜなら、長期の休養を取れたことが功を奏し、キズナの馬体は大きな成長を遂げていたからである。

日本ダービーと前走の京都記念出走時の立ち写真を並べて見てもらえれば一目瞭然、誰の目にも明らかであろう。

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