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母を想う①フルーチェものがたり

わたしが中学生のときに亡くなった祖母が最期に口にした食べ物は
ピーチ味のフルーチェでした。

布団から起きることもままならなくなり、食欲もなくなっていた祖母に
「これなら食べられるかも!」
と母が用意しました。

我が家での ❝ちょっとおしゃれなデザート❞ の位置づけ。

いちごがいいかな?
ピーチがいいかな?
おばあちゃんは、桃かな、

牛乳たっぷりにゆる~くといて出来上がり!
ごくんと食べてくれました。

これは、昭和の話。。。


わたしの母は祖母が亡くなってから42年後、今年の6月に亡くなり
ました。

とろみのついた水を飲むこともままならなくなり、好きなものを食べ
させることを許されたとき、わたしはすぐにあれを思い出し、スーパーに
走りました。

ピーチがいいかな?
おかあさんはマンゴーがだいすきなんだよね!
アップルアンドマンゴー、これだね!

牛乳たっぷりにゆる~くゆる~くといて出来上がり!
割りばしの先にガーゼをまいて、少し浸して口元に運びます。

「おかあさん、フルーチェだよ! 
 大好きなマンゴーにしたよ!」

ちゅっちゅと吸うようにしてくれました。
その口元、かわいかった♡

母の最期に口にした食べものもフルーチェでした。

これは、令和の話。。。



子どもたちが小さかった頃、ママの私はフルーチェをデザートに使い
ました。

今日はどっちの味がいい?
う~ん、ブルーベリーにしようか、

牛乳をたっぷりいれて、ゆる~くゆる~くときます。

「おいしいね!」

子どもたちは、にっこり(*^-^*)

これは、平成の話。。。


子どもたちも大きくなって、パッケージを見ながら、フルーチェを作って
くれるようになったとき、

「なんか、全然、ちがう。。。」
「フルーチェって、しっかりしてるんだ。。。」

「みんなでいっぱい食べられるようにいっぱい牛乳をいれてたからね~」

これまた平成の話。。。


わたしが人生の最期に口にする食べものはなんだろう、
ゆる~く考える今日この頃です。



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