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政治的暴力事件を防ぐために、私たちは今何をすべきか。

このままでは、政治的暴力事件が繰り返されてしまう。そのためには、学校内の教育を変えるしかないと私は考えています。

本日、岸田文雄総理が駆けつけた応援演説の会場で爆発物が投げ込まれました。安倍元首相銃撃事件に続き、選挙中の暴力事件が繰り返されてしまいました。

暴力以外で社会は変えられる

「暴力で社会を変えるしかない。」その考えは間違っています。私たちは、署名、デモ、選挙、メディアへの投書、政治家への陳情、政治家になることなど様々な方法で社会を変えることができます。だからこそ、社会を変える方法を考える教育を学校でする(主権者教育)のは大事です。

学校の中で、小さなルールを変えられた、みんなで話し合って学校生活をよくした、校則を変えられた。対話によって、変える経験を繰り返す。その経験が自信につながり、社会を変えられると思い、今度は行動にうつすようになる。このように、学校内で民主主義を行うことが不可欠です。暴力以外で社会を変える経験をするべきです。

変えられない学校

ところが、今の学校では、変えようとしても、変えられない。話そうとしても、話を聞いてもらえないという経験をしている子どもたちが多くいます。私は若者の政治参加を専門にしており、全国の学校で主権者教育を実施しています。そこで、子どもたちから相談をよく受けるのは、「校則を変えようとしたら、内申点が下がるのではないかと不安」「生徒会は先生の意向を忖度する子がなる」「校則を変えようとしたら、先生がダメと言った」「校則を変える規定がないから、校長先生の気分次第だ」などという声です。これで、子どもたちが対話や選挙、代表者に何かを託し、その代表者が決めるという感覚を身に付けるのは難しいでしょう。自分たちで自分たちのことを決めることができず、何かあっても波風立てず、考えずに従うという習慣が身についてしまうのではないでしょうか。

日本は、自分の力で、国や社会を変えることができると思う人が26%しかおらず、先進国でも低い数字です。社会は変えられる希望と実感、社会を変える方法を知らないとまた暴力は増えてしまうでしょう。


日本だけではない「若者の疎外化」問題

私が昨年拠点をおいて取材をすすめたイギリスでは、主権者教育が始まった背景には、若者の低投票率など政治への無関心が高まり、若者の殺人事件や、「若者の疎外化」が社会で問題視されたことがあります。2001年にアメリカで起こった同時多発テロなどの影響もあり、民主主義を脅かす事態が迫ったと捉えられました。結果として2002年からシティズンシップ教育(主権者教育)が義務化されました。そして、民主主義の抱える問題に対して、自ら能動的に取り組む力をどうやって育むかという点に主眼がおかれました。

私が取材したイギリスの小学校では、先生が子どもたちに社会を変える方法は多様にあることを伝え、「みんなも学校給食に不満があるなら、署名をすればよいよ」と伝えていました。このように社会を変える力がみんなにもあるということを先生が、民主主義の価値を理解し、行動にうつせるように教えているんです。


主権者教育の専門家として

今こそ、民主主義国家として、「暴力は許されない」、民主主義とは何か、それを実践するためにどうすればいいのか、教育課程で何をすべきなのかなど議論が活性化することを願います。暴力事件を繰り返さないために、私も発信していきたいと思います。スウェーデン、イギリス、ドイツ、フランスなどで主権者教育の研究者、実践者、政治家、アクティビスト、学校、若者など100人以上の方にインタビューしたので、その知見を日本で伝えたいです。

スウェーデンは幸福度も高く、若者の投票率が8割を超えている国ですが、国の教育基本法のようなもので、民主主義的価値観を学校で学ぶことが規定されています。

よろしければ、街頭インタビューの模様もアップしているので見てください。
https://youtu.be/KlpnDnbNoFU

若者の政治参加や主権者教育を専門としているので、私だけではなく、今こそ、そういう専門家の声が社会に届くとよいと思っています。


「私たちができること」

暴力は許されないと発信し続けること。決して、テロリストを崇めたり、同調したりして、テロをすれば、社会を変えられると思わせないこと。

暴力以外で、社会を変える方法はたくさんあること。

こういうことを伝えることが私たちにできることです。

民主主義を諦めない。民主主義は完璧なものは難しいけれど、社会の一員として、よりよい民主主義社会にしていく。そのことを一緒にできたら嬉しいです。

たかまつなな


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