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年に一度お目見えする地元の「たけのこ芋」。今日は皆さんをチチカカ湖ツアーにお連れします!

昨年、こちらに越してからスーパーでちらっと見かけた「たけのこ芋」。東京の普通のスーパーでは見た事がなかったので、買おうかと逡巡していたら見なくなってしまいました。そこで今年は!と意気込んで、見かけた3月3日に速攻購入いたしました。

太くてまっすぐで横線が入った様子がたけのこに似ていることから「たけのこ芋」あるいは「京芋」とも呼ばれています。京野菜の海老芋も京芋と呼ばれますが、あちらは別物なんだそうです。

今回はイカと一緒に炊きました。レシピは文末に。

日本の食環境で見かける「芋」は大きく3種類かと思われます。「たけのこ芋」が属する里芋・タロイモ系列、ジャガイモ、サツマイモです。里芋・タロイモはインド辺りが起源のようで、ジャガイモは中南米から南米のアンデス山脈で生まれ、サツマイモはメキシコ周辺で生まれ紀元前800~1000年ごろには、中央アンデス地方で既に作られていたという歴史があるようです。

そこで今回はジャガイモ発祥の土地であるアンデス地方のチチカカ湖にホームステイした時のお話。


〇チチカカ湖とは

2005年1月に日本を出て世界一周の旅を始めた夫と私は、アメリカ合衆国からメキシコ、中央アメリカの国々を旅して10月に南米第一カ国目のペルーにやってきました。首都リマに入ってから地上絵のナスカ、古都クスコ、マチュピチュなどを観光してチチカカ湖沿いの街プーノに到着したのが10月22日でした。

南米ペルーとチチカカ湖の位置

チチカカ湖は南米のアンデス山脈にある淡水湖です。ペルーとボリビアの両国にまたがって存在しています。標高は3810m。富士山の頂上よりも高い所に位置しており「汽船などが航行可能な湖として世界最高所」と言われています。

ツアーはプーノ発着。アマンタニ島で一泊して翌日タキーレ島を訪れました

このチチカカ湖に浮かぶ島々を訪ね、島民の家にホームステイする一泊二日のツアーがあったので参加してみる事にしました。本日はこのツアーの様子を写真と共に紹介する事で、皆さんもチチカカ湖を訪れた気分でお芋を食べて頂ければと思って書きました。

〇トトラ船

チチカカ湖にはトトラと呼ばれる葦が群生しています。このトトラを干して編んで手工芸品のみならず、家具から家から果ては船まで作って生活している人々がいます。ツアーはチチカカ湖沿岸の街プーノからトトラ船に乗って、トトラでできた浮島を訪ね人々の作業を見物するところから始まりました。

トトラ船
トトラ船

〇浮島トトラ島

最初に上陸した浮島はトトラ島。浮島は足元がふわっふわっとしている。島の中央に車座になって、ここでの生活などを解説してもらいました。船が停泊するのとは反対側の島の端は徐々に葦が薄くなって水と交わったようになっていて、あまり端に行くとそのまま湖へ落ちてしまいそうな感じ。島を構成している葦はどんどん劣化して腐るので、常に新しい島というか床を編む必要があるという話でした。

島民女性はシルクハットを被っていました。アンデスの女性の伝統的衣装。

そんな昔ながらの生活が続く一方、島には太陽光パネルがありました。電気を引くことができない浮島にフジモリ大統領の時にパネルが配られたというのです。島の中で目にする「新」と「旧」の隔たり具合がぶっ飛んでいるなぁと思ったものです。

細い柱の上に黒いソーラーパネル

〇浮島ウロス島

次に訪ねたウロス島には、何と葦でできたコテージがあり宿泊もできるようです。こちらの島は観光客慣れしていて、写真を撮影したらチップを要求されたりしました。

三角形のコテージ
島内の物見台から見下ろした島の様子
船で離れて見ると浮島ぶりがよくわかりました

〇アマンタニ島で民泊

2つの浮島を見学後、再びトトラ船で向かったのがアマンタニ島。ここは人工の浮島ではなく本当の島です。ツアーは島民の家に民泊するという内容でした。私達を預かってくれたのは26歳のマリアさん。小さなお嬢さんのいる家庭でした。案内された部屋は二階建ての二階。寒さを凌ぐためか天井がかなり低く、いかにもアンデスというカラフルな寝具や突飛な壁の色が遠い地に来た実感を沸かせてくれました。

ホームステイしたお家
二階の寝室

この家でまずはランチを出してもらい、夕方から島の中心地の遺跡までハイキング、家で夕飯を出してもらったら民族衣装を貸してくれて、島民の公民館でのダンスパーティーに参加するというプログラムでした。私はほとんどスペイン語が話せないのでコミュニケーションはゼスチャーメインなのですが、それでもホンワカしたマリアさんの人柄の良さを十分に感じる事ができました。

ホストファミリー

〇民泊での食事

キッチンは家とは別棟になっていて、屈んで入るような小屋。

中には炭火のコンロが3つあって美味しそうな匂いに包まれていました。このキッチンで作られたランチがこちら。

キヌアのスープ。スプーンの上の半透明の輪っかみたいなのがキヌア。
写真右下はイクアレプトという香草でカレーのような風味を出す
手前は蒸す前に美しいオレンジ色だった海老の形の芋、奥はサツマイモっぽ味。
上にチーズのソテーと生のトマト
右:ムーニャのお茶、左:ミントのお茶
器が素朴で可愛らしかった

今でこそ健康食品として日本でも出回るようになったキヌア。私はこの時初めて食べました。標高が高い場所でしか作る事ができないキヌアは、アンデス山脈の人々の常食ということで、スープに入って供されました。それから、見た事がない種類のお芋。海老芋のような形ですが、味はじゃがいもとサツマイモの中間みたいな感じの物と、黄色くて甘味の強いサツマイモだと思われる芋の二種類。これにソテーしたチーズとトマトがついてきました。チーズは恐らくスペインの影響でしょうか。最後に出してくれたハーブティーも味わった事がない清々しいお茶で、これも気に入りました。

夕飯は今度は米がたっぷり入ったスープと、トリハ・デ・ベルドゥーラという小麦粉、卵、野菜のみじん切りを混ぜてフライパンで揚げたものと白米、そして最後にハーブティーでした。

左:トリハ・デ・ベルドゥーラとご飯
右:お米の入ったスープとムーニャのお茶

炭火で調理しているためか、なんだかとっても美味しいんです。ハーブティーのお湯も柔らかい感じがして。器に使われている焼き物も可愛らしい図柄でちょっと欲しくなりました。

〇ランチ後の島の中心にあるパチャママ遺跡へ

ランチ後に少し仮眠してから、夕方から島の中心にある遺跡までのハイキング。

ペルーのクスコ(標高3399m)から標高の高い場所をずっと旅しているので、ぎりぎり高度順化しているとはいえ、アマンタニ島は川岸でさえ標高3810mとなります。島の中心にある遺跡は更に340m上がった4150mにありました。家から遺跡のある山を見上げるだけで疲れが襲って来る感じがしたのですが、マリアさんに笑顔で誘われてでかける事にしました。

皆でぞろぞろと散策

30分ほどかけて頂上にたどり着いた頃には、もう息はゼイゼイとあがるし、疲労困憊して少し頭も痛いような。高山病っぽい気もしましたが、山からの夕景に救われて何とか家まで帰ってきました。

景色は素晴らしかった

〇「楽しいけど苦しい!」ダンスパーティー

夕飯後の夜8時。ホストマザーのマリアさんと小さなお嬢さんが民族衣装を持って部屋にやってきました。これに着替えて皆でダンスパーティーに行くってわけです。実はもう疲労困憊だったのですが、ホストファミリーがあまりにもパーティーを楽しみにしている様子に、全エネルギーをふり絞って参加してきました。

マリアさんに着つけてもらう

村の公民館のような場所に、各家庭のホストファミリーと民族衣装に身を包んだ外国人が多数。「コンドルは飛んで行く」風なフォルクローレの音楽が鳴り出すと男も女も、大人も子供も外国人観光客の手を取って踊り始めました。手をかーっと上げられたらクルクルと回る事になっているみたいで、もう何回もクルクルさせられちゃいました。

男性の衣装
女性の衣装

ざっと見、ほとんどの外国人は高山病なりかけでヘトヘト、地元民はめちゃくちゃエネルギッシュにクルクルダンスという図。いやー、楽しいなぁ!と思う反面、めちゃくちゃ苦しいわという思いもあり、複雑な心境のパーティーでした。しかし今から思うと行っておいて良かったです。こんな衣装を来て島民とダンスを踊る経験なんて滅多にできないですからね。

子供たちだけのダンス披露

それにしてもホストファミリー、嬉しそうでしたねぇ。

〇翌日タキーレ島見学してツアー終了

ハードな初日を終えた翌日、朝8時にマリアさん一家に見送られて外国人観光客は再び船に乗って最終目的地のタキーレ島を訪れました。この島は坂の上の島の中心部に中心広場があります。

中心広場まで坂を上る

広場を取り囲むように家や店が並んでいました。建物は元スペイン植民地でよく見られるようなスペイン調の建物でした。ややヨーロッパ調の建物にインディヘナ的顔立ちの人々が集う姿は中南米に入ってすぐの頃は違和感がありましたが、この頃には大分見慣れた風景になっていました。

中南米では中心広場はソカロと呼ばれる

広場を自由に見物した後、ツアーメンバーは食堂に集まってランチ。チチカカ湖で獲れる鱒のソテーやらキヌアのスープやら、なかなか豪勢なランチは一人300円くらい。チチカカ湖からボリビアの首都に至るまでは、この鱒を本当によく食べました。かなり大きなサイズなので肉厚でジューシーな魚は、淡水魚のイメージを覆す美味しさでした。

肉厚の鱒のソテー、フライドポテト、ご飯、パン、キヌアのスープ、お茶。
量もたっぷりで白人たちも大満足!

ランチ後はまた船にのって夕方プーノに到着。こうして一泊二日、富士山頂よりも高い場所での民泊ツアーは無事終了しました。高地っていうのがなかなか辛いのですが、美しい湖、昔ながらの生活や食事、温かいホストファミリーと交流できて、期待以上に思い出に残ったツアーでした。

それでは、地元野菜「たけのこ芋」を使ったお料理を紹介します。参考にしたレシピですが、調味料を材料の重さに対する割合で表示してくれているのが大変に気に入りました。この割合を頭に入れておけば、その都度、味に迷う事がない!何と素晴らしいことか!

<参考>料理人 設楽の料理道場
もう味付けで迷わない!【イカと里芋 の煮物】の作り方  材料の量に関係なく定番おかずを美味しく作る方法を初公開します


★ 『たけのこ芋とイカの煮物』
<材料>

  • たけのこ芋 2

  • イカ 1

  • 醤油 総重量の10%

  • みりん 総重量の10%

  • 酒 総重量の5%

  • 砂糖 総重量の2%

以下は、今回の具体的な分量です。

  • たけのこ芋 400g

  • イカ 200g

  • 醤油 6g(実際は小さじ1)

  • みりん 6g(実際は小さじ1)

  • 酒 3g(実際は小さじ半分強)

  • 砂糖 1.2g(実際は一つまみ)


<作り方>

  1. たけのこ芋は皮を剥いて4cmの銀杏切り

  2. イカは適当な大きさに切っておく

  3. すべての材料を鍋に入れて、ひたひたになるまで水を加える

  4. 落し蓋をして強火で沸くまで、沸いたら弱火の強で水量が1/3になるまで煮る(10分くらい)

  5. 一晩置く

  6. 蓋をせずに水量1/4まで煮詰める

たけのこ芋
肌理細かくて美味しいお芋でした

実は今回は一晩ではなく1時間置いて煮詰めて食べましたが、それでもまぁまぁ芋の中に味が入っていておいしかったです。冷めるまで置くと味が入るので、できれば一度冷めるまで置くといいかと思います。

たけのこ芋は里芋に比べると皮が向きやすく、ぬめりも少ないので扱いやすかったです。また肌理が細かくてお上品な味わいもよかったですね。また来年巡り合えたらいいなと。

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