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営業がいない少人数のWeb制作会社は、どこまでのサービスを営業努力とするべきなのか。

ビジネスにおいて、とにかく提案、無料でどんどんサービス、とにかくギブし続ける人が勝つ!という考え方があります。
そういう本を読んでみて、考え方としてはたしかにな、と納得する部分もありました。

しかし、実際に自分の日々のビジネスにおいて置き換えてみると、そうも言っていられません。
営業もいないような、少人数の小さなWeb制作会社を経営していると、ギブばかりしていては、制作ビジネスは成り立ちません。

提案をするにも、見積書を作るのにも、人は動くしその分の時間はかかります。
受け取る方にとってみると、その程度のことで、と思われることであっても、ゼロから生み出す制作の仕事においては、結構な時間を取られる作業が多いのです。

一人のギブの時間が、小さな会社にとっては、業務や売り上げに少なからず影響するものです。

また、個人においては、ギブし続けると返ってくることもあると思いますが、法人取引においては、個人という人格ではないので、ギブが返ってこないことが多いのも事実です。

私は、制作ビジネスは特にギブしにくい業種ではないか、とすら思っています。
ギブしていればいつかは返ってくる、なんていう悠長なことは、小さな会社の経営で言っていられません。

そんなことを言ってるからダメなんだ、と言われそうですが、個人としてではなく、法人として、制作ビジネスとして、制作会社の経営に携わっていると、単純なギブだけではなく、リターンの確率が高く無駄のない行動をしなければなりません。

そのためには、どこまでが無償でどこからが有償なのか、きちんと会社の中で線引きのルールを決めておく必要があります。
次に活きるギブとそうでないギブの線引きをするのです。

会社の中で、個々人が自分の考えで、無償のギブをし続けると、売り上げが上がらない無駄な動きが発生し、会社から社員にギブするものが少なくなってしまうことにもなりかねません。

色々な考え方があるとは思いますが、この記事では私の考える無償の範囲のサービス(ギブ)と、そうでない有償の作業の線引きについて、書いてみたいと思います。

コンペのデザイン案制作は無償では行わない。

コンペになると、デザイン案ありき、と考えている制作会社も少なくありません。もちろんデザインコンペであれば、デザイン案を作って挑まないといけません。

しかし、私の会社の場合は、デザイン案は無償では制作しません。
代理店がコンペに参加する際に、受注したら必ず御社に発注するので、デザイン案を制作してほしい、と頼まれるケースがあります。

有償じゃなければ、お断りするわけですが、これにはかかる工数以外にも理由があります。
代理店をはさむと、自分たちの提案の意図とは異なる形で提案していたり、代理店の考えや方向性でデザイン案を制作することになります。
顧客に対して直接提案して、自分たちのデザイン力や提案が届かなかったのであれば、まだ諦めが付きますし、改善の余地があります。

しかし、代理店をはさむと、結果を教えてくれないどころか、失注した理由すら把握できないことが多いのです。
これは代理店にもよりますが、そういったことが過去に重なったので、デザイン案を制作するのは無償では行わなくなったのです。

下請けではなく、顧客に直接提案する際においても、条件として必須でなければデザインは提示しません。
会社にもよりますが、私の会社の場合はどちらかというと、技術力や制作ノウハウを売りにしているので、そちらで勝負しようと考えています。

デザインは過去の制作実績を出せば十分だと思っています。
デザイン案を出さなくても、コンペで勝つことは十分に可能です。

私の参加したコンペだけなのかもしれませんが、条件としてデザイン案が必須というコンペはあまりなく、なぜみんなコンペになると、デザインを提示したがるのかな、と少し疑問にすら感じています。

代理店の提案書作りには無償では参加しない。

これもデザイン案の制作と関連するのですが、直接の顧客に提案するのでなければ、提案書だけを無償で作るようなことはしません。

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