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制作費用を値切られた時、損しない値引き交渉のコツと、やってはいけない値引き交渉。

ビジネスにおいて、値引き交渉は付きものですが、制作の場合は物販と異なり、顧客から見てその費用が妥当なのかどうかの判断が、難しいということもあり、過剰な値引き交渉をされることも少なくありません。

値引き交渉もなく、すんなりと見積りが通ると、逆に怖いくらいです。
「あれ?もしかして安く見積り出し過ぎた?」など、不安を感じることすらあります。

日常茶飯事の値引き交渉ですが、顧客によっては異常にしつこく交渉されたり、強引かつ過度な値引きを要求されるケースも多々あります。
Web制作は工数(人が動く時間)計算で費用を算出することが多いので、「なんでデザインにそんなに作業に時間かかるの?」「もっと効率よく作業して値段を下げろ」など、とんでもない言われ方をすることも中にはあります。

この交渉が、時には精神的に応えるのです。
値引きしてあげる側なのに、なぜにこんなに高圧的に要求されなければならないのだ?!そんなことを感じたのは一度や二度ではありません。

この記事を読まれている方の中には、同じような思いを経験したことのある方も多いのではないかと思います。

経営に携わっていると、とにかく案件を受注しなくてはいけないので、「値引きは絶対にしません」くらいの強い姿勢で交渉に臨むことが、難しいことも多いです。
もちろん、主張をできるくらい仕事量があって、制作にも自信を持てることは素晴らしいことです。しかし、実際には小さなWeb制作会社だと、そこまで強気に交渉できるところは少ないのではないでしょうか。

理不尽な値引きを、言われるがままに受け入れていては、どんどん自分たちの制作の価値を下げていくことになります。かと言って失注するのも悔しい。

自分たち制作側にもメリットがあって、納得して制作を進めることができる値引き交渉はないだろうか。

この記事は、Web制作会社の経営に10年間携わり、色々な顧客と交渉としてきて、私なりに、メリットのある値引きと、やってはいけない値引きについてまとめたものです。
値引きの条件に正解はありませんが、制作の仕事の本質を意識しつつ、制作者が毎回損をしないような、値引き交渉について書いたつもりです。

顧客との値引き交渉に、毎回胃をキリキリさせているようなWeb業界の方が、この記事を読んで、少しでもうまく顧客との値引き交渉に渡りあえるようになってもらえたらうれしいです。

見積書を作る前に、顧客の予算感は必ず聞いて無駄な見積もり作業は減らす。

Web制作は、ゼロの状態から制作するので、商品の価格があるわけでなく、顧客にとって最初の費用感は分かりません。
ただ、この位までならWeb制作にかけても良い、という費用感は持っているものです。

顧客が想定していた予算感と、自分たちの算出した見積り金額が離れていると、見積書をせっかく作ったのに、失注してしまう、また過度な値引きを要求されることになります。

値引き交渉以前に、これは避けたいところです。

取りあえず予算感はないけど、どのくらい費用がかかるものなのか知りたい、という顧客も多いです。それでも、この位の費用だったらお願いしてみよう、という目安の金額はあるはずなので、うまくその辺りの予算感を聞き出せると、無駄な見積り書を作る確率が格段に減っていきます。

予算を見積り前に把握することで、仮に見積り上は予算からオーバーするとしても、「予算内だったらここまで出来る」という条件を提示できますので、意味のない値引き要求というリスクを避けることにも繋がります。

あまりに予算が少なく、どう考えても予算内で見積りを作成することが不可能であれば、見積書を作成せずに辞退することだって出来ます。

予算が聞きだせなかった場合、まったく予算感を持っていないという顧客というのは、発注意思が弱いということも考えられます。
私の経験上、予算感はないので、取りあえず御社の見積りが欲しいという方は、見積書を出して説明を聞いたうえで、音信不通になることも多いです。

予算感がまったくない場合、発注するつもりが本当にあるのかも疑った方が良いかもしれません。

顧客は簡単に色々なパターンの見積りを出してくれ、と言いますが、制作の見積書を作成するにも、それなりに時間がかかります。

予算に合わないのに、とにかく見積書を作っていては、それこそ見積り工数貧乏になりかねません。特に小さな社員数の少ない制作会社では、一人一人の作業効率がシビアになってきます。

とりあえずなんでもかんでも見積書を作るのではなく、まずは顧客の予算を把握して、無駄のない見積書を作成するのが、値引き交渉を少しでも避けることにも繋がります。

実際に、予算の中ではこれは出来ない、これは出来る、と作業内容と根拠をきちんと立てて説明すれば、意味もなく値引け!と言われることは、ほぼありません。

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さて、ここから実際に値引きする際に、飲んでも良い条件と、制作側にメリットが出る値引き条件についてです。

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