「サカナバッカ」は新しい仕組みバッカ

チャーリーさんの丸わかりビジネスモデル。今回は斬新な鮮魚店というだけでなく、水産物の取引形態でも新しい取り組みをしている「サカナバッカ」を取り上げています。

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO37109860Q8A031C1H46A00/

■変わる水産物流通

私は長く野菜や果物、水産物の取引市場を取材してきました。こうした生鮮食品は東京でいうと豊洲市場や大田市場のような卸売市場を経由するのがほとんどでした。

産地⇒卸売市場(卸会社⇒仲卸会社)⇒小売店⇒消費者

という流れです。

しかし、現在は日本の食品流通は大きく変わっています。消費者は生産者や小売店からインターネットを通じて直接、食品を買うようになり、小売店も農産物の生産者や漁業者から直接、商品を仕入れるのが増えています。その結果、卸売市場離れが急ピッチで進んでいます。

農林水産省の「卸売市場データ集」によると、1989年に74.6%だった水産物の市場経由率は2015年に52.1%まで低下しています。つまり水産物の半分はもう市場を通していません。

チャーリーさんは記事でこう指摘しています。

通常、卸を通すと売れ筋の魚が中心となってしまうので、どうしても少品種になる。しかし、産地から直接仕入れることで、多品種の魚を取りそろえることができる。珍しい魚種を加工して流通させることで商品価値を生み、市場の活性化も狙っている。

産地から直接仕入れることでコスト面だけでなく、品揃えまで魅力的にしました。「サカナバッカ」が画期的なところです。

■店舗はおしゃれ

売り場はどうでしょう。とにかくおしゃれな店舗です。私の主観ですが商品の並べ方はユニクロやドンキホーテのような縦に陳列する見せ方を彷彿とさせます。売り場をみているだけで楽しくなります。

現時点の立地は中目黒や都立大学など、住みたいまちランキングで上位に入ってくる場所が目立ちます。マグロ解体ショーなどのイベントも定期的に開催し、お客さんを呼び込みます。

お肉に押され、日本人の魚の消費量は減少傾向にあります。こうしたユニークな魚売り場が増えていけば魚食回復につながるかもしれません。

一般消費者向けの「サカナバッカ」と事業者向けの「魚ポチ」は、それぞれが水産業の構造的な課題を解決するための重要な役割を担っている。

10月に華々しく開業した豊洲市場ですが、こうした新しい流通の仕組みの台頭は気になるところでしょう。「サカナバッカ」が提起した市場や食品流通の問題点を改善することなしに、市場外流通の増加は止まらないからです。

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