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肝試し美人化【#毎週ショートショートnote 裏お題】

「女の子は髪が長い方が可愛いのよ」
そう言って母は私が生まれてからずっと私の髪を切らずにいた。
小学5年生の頃には膝まで伸びた髪を、母は毎日ポニーテールのみつ編みにしてくれていた。
そんな夏の日、子供会で肝試しをやる事になった。
お化け役は大人がやるのだが、私は髪が長いという理由でお化けの役になった。
いつもは結んでいる髪をおろし、顔を白く塗り白い着物を着て暗いお墓の奥で来る人を待ち構えていた。
私はそれがとても怖くて、いつ本物の幽霊が出てくるのかとドキドキが止まらなかった。
人々は私を見るなり悲鳴を上げて逃げ、肝試しは成功した。
会が終わり、お化け役の私も集合場所に戻ると、同じクラスの橋本くんがいて
「あ、あのお化け真希だったのか!いつも髪を結んでいるからわからなかった」
と言い、続けて
「きれいなお化けだなぁと思ってたんだ」とサラッと言った。
私は恥ずかしくなり白塗りした頬が赤くなるのを感じ、配られた甘いスイカを後ろ向きで食べた。



たはらかにさんの #毎週ショートショートnote の今週の裏お題「肝試し美人化」を書かせていただきました。

ここのとこの裏お題、かなりのノンフィクションで書いています。
私も小さい頃は髪の毛がとても長く、母が髪を切らせないでいました。
中学生になるまで1度も髪を切ったことが無かったのです。
この主人公のように髪が膝まで伸びていて、洗うのも1人では出来ず母と一緒にお風呂に入っていました。
夏の肝試しの時はいつもお化け役、夜のお墓は本当に怖かったです。
長い髪はおろすと、肩掛けのようになり寒い時に便利だったり、意地悪な男子の事をムチのように振り回して追いかけたりしましたが、体育の時はいつも邪魔でした。とくにラジオ体操!髪も同じ動きで体操していました。鉄棒も辛かったですね。

中学生に入って校則が厳しく、髪の長さを全部揃える事、自分で結んだりできない髪型は禁止と言われ、はじめてバッサリ髪を切った時は体重が3キロぐらい減り、頭が軽いし手入れも楽だし嬉しかったです。
今はすっかりショートヘアーなのですが、長い時が懐かしく感じます。

たはらかにさん、今回も面白い裏お題ありがとうございました。



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