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読書感想文:煌夜祭/多崎礼

煌夜祭   多崎 礼 著

子供の物語だと、思った。
誹る意図ではなく、貶す意図でもないが、未成熟な、よく言えば純粋な視点から語られる物語だと思った。

異世界と、戦争と魔物と子供。
ちりばめられたそれらは寓話で、御伽噺でもある。

整合性やそういったものの話ではなく、読んでいて、大人の世界を本や知識で覗き見た、賢しい子供が書いた物語の気配がするのだ。
それが悪いとかいいとかの是非の問題ではなく、ひどく大事な物事の決断や、起こってしまった出来事を俯瞰する視点に、活字や今まで知りえた知識としての鳥瞰の視点を付しているように思えるのだ。作者の年令の問題は今は置くが、理解はしていても、共感は出来ていないように思える。

だからこそ、刺々しいまでの純粋さが保たれているのかもしれないとも思うし、物語の構造として悪くない出来でも、清新さについて一体私が何が言えるのだろうかと思う。

それでも、懸命な優しさは決して悪くはない。

(2008/4 実は2021の現在このメモを見て首を捻っている。読んだが忘れたようだ。忘れたため訂正もしない。そのまま出す。)



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