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【夢】 破られても話し続けるCDの話

夢の中の話だ。

夢の中で、両親は、実在の私の両親ではなく、見知らぬ男女だった。

男性は、いわゆる亭主関白と呼ばれるタイプで妻に対して「おい」で話す。
恰幅が良いと言えば聞こえが良いが、要するに不摂生で腹が出ており、生活習慣病の宝庫だった。

女性は、よく話すが口を開けば出てくる内容の八割は旦那の愚痴と悪口で、残りのうち一割は近所の愚痴、やっと残り一割が日常会話と言う有様だった。
女性は働いておらず、子どもも巣立って暇なのか、定年で家にいるようになった旦那に毎日愚痴を聞かせていたが、旦那はそれには全く無反応で、自分の用事があるときに「おい」しか言わなかった。

仕事がなくなって毎日家で菓子で小腹を満たしていたせいか男性の数値は瞬く間に悪化し、男性は入院した。

女性はぶつぶつ言いながら旦那の入院準備をし、病院に向かったが、何故か出発前に「私」に、樹脂性のポータブルCDプレイヤーを渡してきた。
中には背面が真っ白な、自作のCDらしきものが入っており、プレイヤーの色はミルキーホワイトを基調としたパールピンクとのツートンだった。

意味が分からなくて女性の顔を見たが、彼女は笑っただけで「いってくるわ」と言って出かけた。

その途中、彼女は電車事故に遭って死んだ。

なにしろ夢なので詳細は吹っ飛ばされているが、それからしばらくして、「私」は、男性が入院し、女性が死んで無人の家を、大掃除しようと訪れていた。

女性は掃除が嫌いで、一戸建ての広い家は足の踏み場もなかった。

「私」は、まずは幼い頃の自室だった十二畳二間の離れに足を踏み入れた。
まるで倉庫のような様相だったが、とりあえずゴミ袋をいくつか用意して、何故か何十年も前のスーパーファミコンのソフトを二十本くらい詰め込んだところで、ふと、ベッドの上に置いてあるミルキーホワイトのCDプレイヤーが目に留まって、「私」は、女性が嫌いだったので、プレイヤーをそのままゴミ袋に突っ込もうとした。

が、突然、プレイヤーが鳴り出した。

スイッチも入れていないのに、生前そのままのやや早口の女性の声が喋り出す。
内容も生前そのままの、旦那の悪口だ。

「この人もう本当にどうしようもないのよ〜。ご近所のなんとかさんちは玄関を綺麗にしてリフォームしたのに、うちはほったらかし放しで。手伝わないし、家にいても邪魔なだけなのに。」

他にも色々定番の悪口を色々言っていたが、聞くのが不愉快で停止のスイッチを押したが、再生は止まらない。

苛ついて、樹脂のプレイヤーごと叩き壊したが、声は何事もなかったかのように愚痴を言い続けている。

叩きこわしたプレイヤーからCDを取り出したが、プレイヤーから外されても声は止まらない。

CDを割って二つに引き裂いたが、まだ再生する声に、とりあえずスーパーファミコンを入れていたゴミ袋に突っ込んで、部屋の、庭側の戸口のところに置いた。

おそらく数日して、再び離れに行くとどこからか声がする。

元を探すと、戸口近くに置いたゴミ袋の中のCDからだった。

いい加減にしろと思い、いっそ燃やしてやろうと思い、離れの母家側の奥までゴミ袋を持っていき、着火できるもの(ライターなど)を探しに行ってもどると、ゴミ袋の中身のスーパーファミコンのソフトが綺麗に並べ直され、間に突っ込んだはずの破られたCDが、盤面を見せるように一番上に置いてあった。

綺麗に詰められたソフトに一瞬喜んだが、愚痴を流し続けるCDがそのままだったので、苛立ちと憤怒はすぐ戻ってきた。

そこで目が覚めた。

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