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誰かに違いない「彼女」たち。

江口寿史 イラストレーション展「彼女」

江口寿史「イラストレーション展 彼女」のメインビジュアル 千葉県立美術館

千葉県立美術館に江口寿史イラストレーション展「彼女 〜世界の誰にも描けない君の絵を描いている〜」を見に行った。
いやぁ遠かった。

展示構成
第一章「遭逢 ポップの美神たち」
第二章「恋慕 マンガからイラストレーションへ 1977-現在」
第三章「素顔 美少女のいる風景 1999-2000」
第四章「艶麗 ワインを持った女たち 2002-現在」
第五章「青春 音楽とファッション 2000-現在」
第六章「慈愛 いまを生きる彼女たち 2014-現在」

約500点もの作品が展示されている。

たくさんの作品が展示されている風景 「第二章 恋慕 マンガからイラストレーションへ」
平日にも関わらず三々五々訪れる鑑賞者

いろいろと引っかかるものはあったのだが、
“ライブドローイング”のドキュメンタリー映像がまずもって面白かった。
目から描く場合があるかと思えば、髪から書き始めるときもある。
どの絵も江口寿史の中にある“彼女”なのだが、
ペン先(おそらくボールペンの類)の微妙なタッチを繰り返していくうちに
“彼女”の中に個別性が表れてくる。
そんな“ライブドローイング”の映像をずっと見ていた。

ライブドローイングの映像が流れている展示室 第四章 艶麗 ワインを持った女たち
奥に見えるモニターで過去のライブドローイングの様子を知ることができる

たくさんのイラストレーションの中で、個人的には
サラ・パレツキーの単行本用に書かれたシリーズが懐かしかった。
サラ・パレツキーは、ほぼ読んでいるのではないかな。
ここで再会し、そうだ、江口寿史の表紙だったと思い出したのだ。

サラ・パレツキー文庫本カバー4店
上/『バーニング・シーズン』下/(左から)『サマータイム・ブルース』『レイクサイド・ストーリ』『レディ・ハートブレイク』いずれも早川書房

それから、やっぱり大滝詠一の「A LONG VACATION」40th トリビュートイラスト。ここらあたりは、まぁどうしても刺さってしまうわけです。

大滝詠一のアルバム ア・ロングバケーション 40周年トリビュートイラスト
大滝詠一『A LONG VACATION』40th トリビュートイラスト

さらに大きなライブドローイング作品。
この大きさ(表示はなかったが感覚として1500mm四方くらい)を
ライブで描いたとはすごい。
『マスクをしていた耳がいたい』
『深呼吸の必要(二階堂ふみに捧ぐ)』
この二点が気になった。深呼吸の必要って、長田弘の本にあったような気もする。


ライブドローイング作品 マスクをしていた耳がいたい
『マスクをしていた耳がいたい』@北海道立旭川美術館2021


ライブドローイング作品 深呼吸の必要(二階堂ふみに捧ぐ)
『深呼吸の必要(二階堂ふみに捧ぐ)』@岩手県立美術館2022

長い時間の中で描かれてきた膨大なイラストレーションは、
千葉県立美術館のように遠くもあり、
本やレコードのように身近でもあり
心のなかにマッピングされる様相は様々だった。

展示上部に掲げられた江口寿史の言葉 ギャグ漫画家としてデビューしたときは 絵なんかに全然興味はなかった
ギャグ漫画家からイラストレーターへ


ウィークリー漫画アクション表紙 美少女のいる街風景シリーズ バスケットコート
『Weekly 漫画アクション』表紙 「美少女のいる街風景」シリーズ <バスケットコード> このシリーズは何点も展示されていたが、総じてよかった


吉祥寺サンロードのために書き下ろされたフラッグの数々
吉祥寺サンロードに掲げられたフラッグの数々
千葉県立美術館の表示と江口寿史の展示案内
なかなか古風だった千葉県立美術館


江口寿史イラストレーション展

「彼女 〜世界の誰にも描けない君の絵を描いている〜」
 千葉県立美術館
 2022年10月29日〜2023年1月15日


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