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第105回全国高等学校野球選手権記念大会 3日目振り返り 4日目展望

 今日は3日目、打力が際立った試合が多くありました。フルで試合を見た1試合目と2試合目の振り返りです。

第1試合 花巻東(岩手) 4-1 宇部鴻城(山口)

 注目のスラッガー佐々木麟のタイムリーなど、中盤の集中打で突き放した花巻東がそのまま逃げ切った。
 花巻東は、序盤、宇部鴻城のエース右腕淺田を打ちあぐねる展開が続いたが、2巡目に差し掛かった4回、5回に佐々木麟、北條のタイムリーなどで4点を奪った。投げては、岩手大会決勝でも完封した小松が縦に落ちる変化球で三振を量産し好投。エース右腕の北條を温存できたことも次戦以降に向けてアドバンテージとなりそうだ。
 敗れた宇部鴻城も、随所に守備で好プレーが生まれ、長所を存分に生かした野球はできていた。打たれたもののエースの淺田は、打たせて取る持ち味の投球術を発揮、2番手の2年生右腕松成も、将来性を感じる好投を見せた。9回に中軸を中心に見せた粘りも見事で、代打陣も次々結果を残すなどベンチワークも光った。

第2試合 クラーク国際(北北海道) 7-1 前橋商(群馬)

 クラーク国際が、終盤の集中打で一気に前橋商を突き放し、春夏通じて初の甲子園勝利を果たした。
 クラーク国際は、同点で迎えた7回に相手二塁手のエラーで勝ち越すと、8回には下位打線の低く鋭い当たりが飛び出して一挙5点を奪った。走者が出ると、佐々木監督は送りバントを徹底。堅実な攻めが際立った。エースの新岡は、多彩な変化球をコーナーに集めながら、前橋商打線を手玉に取り、121球で完投。タフネスぶりを発揮した。
 前橋商は、前半はエース坂部の好投もあって、互角の戦いぶりを見せたが、終盤、失策が得点に絡んでしまったことが痛かった。注目の2年生右腕清水にとっても、悔しい甲子園デビューとなった。一方で、4番で主将の真藤が3安打を放つなど、打線も意地を見せた。清水を含め2年生の選手も多く、新チームの戦いぶりにも期待したい。

残り2試合は結果のみです。

第3試合 おかやま山陽(岡山) 9-2 日大山形(山形)

第4試合 大垣日大(岐阜) 7-2 近江(滋賀)

では、4日目の展望です。

第1試合 鳥栖工(佐賀) - 富山商(富山)

 どちらも投手力を中心とした堅守に自信を持つチーム同士の対戦。守り合いの展開になっていけば、先制点が大きな意味を持つ1戦になりそうだ。
 佐賀大会初戦、第1シードの佐賀北を破った勢いで、春夏通じて初の甲子園出場を決めた鳥栖工。中心となるのが、エースナンバーを背負う古沢と1年生右腕松延響の投手2枚看板。5試合でわずか4失点と守りからリズムを整える。この投手陣を支えるのが、松延響の兄でもある捕手の松延晶。緩急をうまく使ったリードで投手陣を引っ張ってきた。打線もチーム打率5割4分と好調。上位から下位まで打点をマークしており、切れ目の無い打線が出来上がっていることが伺える。守りからリズムを作り、甲子園初出場初勝利を狙う。
 9年ぶりの夏の甲子園出場を掴んだ富山商。1戦1戦積み重ねるごとに身につけてきた勝負強さが持ち味と言えるだろう。投手陣の軸は、140キロ台の直球で、イニング数に近い三振を奪うエースで主将の右腕・上田。四死球が多いところは気になるが、走者を出しても、要所を締める粘り強さが持ち味だ。打線の中では、中軸の堀山の打率が高く、彼の前に走者を溜めたいところ。1番足谷は富山大会で盗塁3つの俊足で、聖地甲子園でもその足に期待がかかる。県勢初のベスト4進出に向けて、まずは、上田を中心にした守りから、勝利をつかみ取りたい。

第2試合 日大三(西東京) - 社(兵庫)

 激戦区を制してきた両者の対決となった。どちらも打撃が好調で、粘り強さも兼ね揃えることから、接戦の展開で進んでいくことが予想される。
 三木新監督就任4カ月で2年連続の甲子園出場を果たした日大三は、6試合で53得点と、「強打の三高」の伝統を受け継いだチームに仕上がっている。主将を務める3番二宮は、長打力に加えて、準決勝でランニング本塁打を記録した俊足も特徴。6番の針金も、決勝を含めて2本塁打を放つなどパンチ力を誇る。絶対的なエースが右腕の安田。140キロを超える伸びのあるストレートに加え、チェンジアップを交えた投球術で、防御率1点台の安定感が際立った。安田を少しでも楽にさせるためにも、強力打線の早めの援護が重要となる。
 昨年の夏から3季連続出場となった社。選抜での悔しい初戦敗退を経て、打撃力をさらに強化。チーム計5本塁打の長打力に加えて、下位打線の打者も4割近くの打率を誇るなど、切れ目がない。投手陣は、エース高橋、左腕の年綱に加えて、2年生右腕の福田が台頭。福田は決勝でも、ロングリリーフで好投するなど、甲子園出場にも大きな影響を与えた。決勝では、9回にスクイズを阻止するなど、勝負所での集中力があり、投打に名門校に物怖じすることなく粘り、昨年に続く夏の甲子園の初戦勝利を目指す。

第3試合 市和歌山(和歌山) - 東京学館新潟(新潟)

 本格派右腕2人を擁する市和歌山の投手陣に対し、東京学館新潟の繋ぐ打線がどう対峙するかが焦点になりそうだ。
 2年前の夏の甲子園覇者・智弁和歌山が初戦敗退するなど、波乱の和歌山大会を制した市和歌山は、4試合が3点差以内と接戦を制して勝ち上がってきた。注目は、速球派のダブルエース。エースナンバーを背負う栗谷は、最速145キロのストレートに加え、カーブやチェンジアップなどで緩急をつけた投球が持ち味。小野も140キロ台のストレートを投げ込む速球派。初戦で5失策を記録した守備も、勝ち上がるごとの良化。打線は、派手さは無いものの、9番熊本が決勝でのサヨナラタイムリーを含む5打点を記録するなど切れ目がない。久々の夏の甲子園で、まずは初戦突破を目指す。
 新潟県勢としても、15年ぶりの初出場校として、甲子園に臨むこととなる東京学館新潟。新潟大会全6試合で6得点以上を記録する「つなぐ打線」が持ち味。1,2番コンビである佐藤と渋川が、俊足を生かしながら塁をかき回し、勝負強さのある八幡、遠藤ら中軸で返していくのが得点パターン。投手陣はタイプの異なる6人の投手の継投で勝ち上がってきた。旅川監督が「みんなで大エース」と語る通り、誰が投げても、トップパフォーマンスができることが強みだ。細やかな継投で、伝統校を翻弄して、初出場で旋風を巻き起こしたい。

第4試合 立命館宇治(京都) - 神村学園(鹿児島)

 両校とも4年ぶり出場の常連校同士の対決となった。両校は、地方大会の決勝をサヨナラ勝ちで、甲子園出場を決めており、この試合も、終盤までもつれる展開が予想される。
 準決勝で選抜出場校の龍谷大平安を破った勢いそのままに、甲子園出場まで上り詰めた立命館宇治。その試合で、龍谷大平安打線を完封した2年生エースの十川に注目したい。195センチという長身から投げ込む角度のある球は、初見の打者ではなかなか打ち崩すことが難しい。京都大会通じて四死球6のコントロールも強み。打撃陣の中では、スタメンのうち7人が打率3割超えと切れ目がない。決勝は犠打などで3塁に進めて、犠牲フライでサヨナラ勝ちを決めるなど、しぶとさも光る。十川と打線が噛み合う展開になれば、4年前に続く初戦突破が見える。
 とびぬけた選手は居なくとも、高い組織力で鹿児島大会を制した神村学園。準々決勝から、9得点、11得点、8得点と、打ち出すと止まらない打撃力に期待したい。決勝で本塁打を放った3番秋本、5番岩下、さらに4番正林など、パンチ力のある打者が中軸に座る。彼らの前に走者を溜められるかが鍵になりそうだ。投手陣は、エースの松永と黒木の2枚看板。特に黒木は奪三振能力に長けており、リリーフとして、守りからリズムを作る役割を担う。手堅い攻撃も絡めながら、組織力で甲子園でも勝ち上がる。

初出場校も2校出場し、戦いぶりが注目ですね!
4日目も楽しみにしましょう!


 

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