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弁護士、辞めます。

2011年より9年弱所属した西村あさひ法律事務所を8月末で退所し、9月1日より株式会社Holmesに入社します。

Holmesとは、契約マネジメントシステムを提供しているスタートアップです。


入社後は、事業戦略の策定や組織構築、ファイナンスや提携など、事業を成長させるためのあらゆることをする予定です。法務として働くわけではないので、将来的に弁護士登録を外すかは悩み中です。(弁護士会費60万円…)

留学に来る前は、留学から戻ったら当然事務所に戻ってM&Aロイヤーとしてキャリアを積んでいくのだろうと思っていました。

しかし、弁護士としての経験を積めば積むほど、アドバイザーとしてではなくプリンシパルとして事業に携わりたいという気持ちが強くなっていたのも事実です。そして、アメリカに渡り、様々な人と話し、学び、考える中で、それまでの価値観が大きく崩れ去りました。また、アメリカでは、弁護士が純粋な「弁護士」としての仕事をしているのはむしろ少数派で、弁護士のバックグランドをもつ人が、ビジネスの最前線で活躍するのが当たり前です。

そうして、色々な物事からの影響を受けた結果、自分で起業でもしてみるかと思い、動かし始めてみたのが今年の頭くらいです。弁護士業務に潜むペイン・課題というのは1時間で100個くらい思いつくのですが、どうしても「弁護士」や「法務」の頭で物事を考えてしまい、単なる効率化やコスト削減の域から抜け出せておらず、今の自分の限界に気づいたというのが今年の春頃のことです。

その裏側で、Holmes CEO笹原との出会いがありました。2年前のことになりますが、留学直前期にスタートアップ関連の仕事が多かったこともあり、契約レビューのソフトウェア開発をしてみたら面白いのではないかと思って色々と調べていました。その時に出会ったのが、Holmes(当時の社名はリグシー )の創業後、わずか半年後に公開されたこの記事です。当時はリーガルテックという言葉も弁護士による起業もほとんど聞かない頃でしたので、衝撃を受けるとともに「やられた!」という感想を抱いたものです。

たまたま後日、笹原がツイッターを始めた初日に見つけてDMをしてみたところ、意気投合し、一時帰国する度に飲みにいって(私だけ)記憶をなくす仲になり、しまいにはオンライン飲み会までやるようになってしまいました。一年前に一時帰国した時には、当時のHolmesメンバーに「お帰りなさい会」まで開いてもらい、身体がもうひとつあったら今すぐにでもこの会社に入りたいと思ったくらいでした。

そうしてやり取りをする中で、Holmesの目指す世界観については笹原から100回くらい聞かされており(若干盛ってます)、「自分は坂本龍馬になるから、お前は中岡慎太郎になってくれ。」と言われ、その度に断るということを繰り返してきました。しかし、話し続けるうちに「個人として何になりたいのか」ではなく「何を成し遂げたいのか」という発想に徐々に支配されるようになりました。ちなみにこれが中岡慎太郎。

同時に、Holmesを間近で見てきたこの一年半の間に、そのサービスと組織の両方が何度も大化けし、日々変化していくのを目の当たりにしました。

今やHolmesが目指す世界は、契約業務の電子化や効率化、コスト削減といった単純なものでありません。契約を起点に、事業、そして社会そのもののあり方を一変させる可能性を秘めたサービスです。

Holmesは、既にリーガルテックの範疇を超え始めていると感じています。そして、Holmesのメンバーひとりひとりが、それを実現可能にするだけのポテンシャルを確実に有しています。

そんな中、つい先月、笹原から101回目のプロポーズを受け、Holmesの一員になることを決意しました。

決断するまでに過去にないほど悩み揺れ動きましたし、文字通りゼロからのスタートで不安もあります。しかし、決心をした今となっては楽しみで仕方ないです。スタートアップに転職するというより、300年続く組織の3年目に入社するというイメージです。

せっかくの絶好の機会なので、自分のこれまでの積み重ねとは全く異なるフィールドで真剣で勝負をして、組織の成長スピード以上に個人としても成長したいと思います。何より、兎にも角にも楽しそう!

ここまで私を根気強く育てて頂いた西村あさひ法律事務所と、M&Aの本場ニューヨークで働く貴重な機会を与えて頂いたDebevoise & Plimptonには感謝してもしきれません。このご恩は、Holmesというサービスを通じ、日本の未来をより良いものにすることでお返しするつもりです。


法律相談の方はひとまずお休みしますが、人生相談は引き続き受け付けておりますので、キャリアに迷っている弁護士・法務の方などがいたらぜひお話しさせてください!


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