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オンライン旅行予約の未来とソーシャルコマース

先週、ソーシャルコマースのスタートアップ、JOYNED(ジョインド)がシリーズAの資金調達を発表しました。調達額は8百万ドル(約11.6億円)
このサービスが旅行業界にとっては面白そうなサービスでしたので紹介していきます

ソーシャルコマースのJOYNEDのホームページ

そもそも、ソーシャルコマースの定義は、“フェイスブックやインスタグラムなどを経由して商品やサービス購入すること、またはSNS上で直接インスタグラムチェックアウトなどで購入すること”とeMarketer社では定義しています。

私たちもインスタなどのSNSでフォローしているインフルエンサーが紹介している商品に興味を持ったりそれがきっかけで購入に至ったことが一度はあるのではないでしょうか?
旅行業界でも、インフルエンサーが今後旅行代理店化すると言われるほどインフルエンサーによって消費動向が左右されています
ただ旅行業界の商品はあまりソーシャルコマース向きではありません

旅行商品とソーシャルコマースの相性が悪い理由

旅行商品とそのほかの商品の大きな違いは、検討時間の長さです。
例えばアイフォーンのような商品は最短思いついたその瞬間に購入する人もいますが、旅行商品は実際に自分が移動する必要があるためスケジュールの確認などが最低でも必要となります。
また一般的には友達や家族など複数人と一緒に行くことが多いためそういった人たちとの合意形成が必要になるため勝手に予約することができません。

どの日程で行くか、どういうホテルにどのくらいの予算で泊まるのかは全て一緒に旅行する人の判断が必要になるためかなりのコミュニケーションが必要になります。
また実際に検索した結果の料金やいいホテル・航空券のなどの販売状況によってもまた旅行の前提が変わっていきます。

そのため旅行の計画は実際にあったときやグループチャットなどでリアルタイムに行われることがよくあります。
カフェや学校、会社の休み時間など、一緒に検索しながら、あれこれやりとりして方向性を決めて行く体験は大半の方がした記憶があるのではないでしょうか?
今回の資金調達をしたJOYNEDはその体験を販売サイト上で実現しようとしています。

OTAなどの販売サイト上でグループチャット

JOYNEDはOTAや旅行代理店などの販売サイトが導入するプラットフォームとなっており、自社サイトに導入するとユーザーが友達をWhatsappなどのSNSやメールなどを通じてサイトに招待することができるようになります。
招待されたユーザはグループチャットで会話しながら自分でもサイトを閲覧し他のページも見ることができるのでリアルタイムでそれぞれのユーザがサイトを閲覧しながら予約まで行うことができるようになります。

チャットの中で商品を提案して投票を行ったりすることができるので離れている場所にいても同じ場所にいるかのように一緒にサイトを見て決めて行くことができます
コレだけでもサイト上でのコンバージョンはかなり上がりそうに感じますがJOYNEDによると本当のメリットはもっと違うところにあるそうです

データ、リピート、トラフィックが最大のメリット

まず、導入するサイトはユーザが友達を招待した後どのような行動をしたのかの情報が全てわかるようになるのでサイト改善の情報として活用できます、こういったデータは従来のようにSNSからのリンクで飛んでくるだけのユーザからは取れなかったのでかなりのメリットがあります。

またこういった機能は実際に利用者にとってかなり便利な機能なのでJOYNEDによると利用者の75%がそのように回答しているそうです。

さらに重要なことは、「ユーザが他のユーザを呼んでくる」ことです。コレによって1人が複数人の利用者を導入サイトに直接連れてくるのでオーガニックトラフィックが増えます。
これはオフラインで集まって決めるのとは大きく違うメリットです。オフラインで集まったり、それぞれの端末で検索する従来のやり方だとそれぞれがいつも利用するサイトにいきますがこの場合、最初のユーザの選んだサイトに全てのユーザが集まることになります。
いつもは楽天トラベルだけど、じゃらんで予約、のようなことが起こり得るということです。

未来の旅行予約の姿:ソーシャルコマースの今後に期待

今回JOYNEDの機能を紹介しましたが、このサービスのようなサービスはOTAなどでも実装されてきそうに感じます。
JOYNEDはテキストベースのチャットが中心ですが、音声チャットなどがあるとさらにシームレスになりそうな気がしますし、そこにAIコンシェルジュなどの機能が備わるとオンライン上で旅行代理店のカウンターにいるような体験も提供できる可能性があります

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