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ナイル殺人事件

やっと公開された!

実はコロナ前にも既に公開スケジュールが変更されていたけれど、コロナ禍になってからは呆れるほど何度も延期されていた。

本作と同じケネス・ブラナー監督作品で、同じくディズニー配給で劇場公開される予定だった「アルテミスと妖精の身代金」がディズニープラスでの配信作品に変更されてしまったので、本作も配信送りになるんじゃないかと心配する声もあった。

さらに、日本独自の問題として、同じディズニー配給の「ウエスト・サイド・ストーリー」の日本公開が2ヵ月延期されたのに伴い(理由は表向きには、アカデミー賞ノミネート発表の時期に合わせたとされているが、実際は年末公開だと同時期公開の「呪術廻戦」にスクリーンを奪われてしまうから対決を避けたってところだと思う)、その「ウエスト・サイド」の新たな日本公開日となった日に日米同時公開される予定だった本作の初日も2週間延期されてしまった。

そんな、色々な事情があったので、無事、日本公開されたことをまずは喜びたいと思う。

おかげで、同じケネス・ブラナー監督作品でも、海外では本作よりも賞レースを賑わせている「ベルファスト」の方が先に世に出てしまったからね(日本は本作の方が先)。

作品自体に関しては、人種差別とか同性愛者に対する偏見などといった現代的なポリコレ要素が加味されていることは、1937年を舞台にした作品としては違和感があったが、それを除けば、オーソドックスなオールスター共演のミステリー大作という感じで(そもそも、再映画化作品だし)、可もなく不可もなくという感じだろうが。

それにしても、本作の監督で名探偵ポアロ役で主演も務めている(クレジットは何故か3番手だが)ケネス・ブラナーって、監督としても俳優としても意外といろんなジャンルの作品に関わっているんだよね。

最も知られているのは、監督としても俳優としてもウィリアム・シェイクスピアの戯曲を映画化した作品だと思う(元々、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーのメンバーだしね)。

監督としては、モーツァルトのオペラ「魔笛」の映画化作品はこの路線に近いのかも知れないけれど、ディズニーのアニメーション映画を実写化した「シンデレラ」や、マーベル作品「マイティ・ソー」も撮っているからね。
さらに、青春映画の「ピーターズ・フレンズ」やスリラーの「愛と死の間で」なんかもある。

また、俳優としては、「ダンケルク」のような戦争映画のほか、芸能界実話もの「マリリン 7日間の恋」、どちらかというとマッチョ系の悪役を演じた「TENET テネット」、「ハリー・ポッター」シリーズの「秘密の部屋」、さらには、ラジー賞最低作品賞受賞作品「ワイルド・ワイルド・ウエスト」にも出ている。

アガサ・クリスティ原作の「名探偵ポアロ」シリーズをケネス・ブラナーの監督・主演で映画化するのは「オリエント急行殺人事件」に続き、これが2作目となるけれど、シェイクスピア戯曲のように量産されていくのだろうか?まぁ、シェイクスピア戯曲の映画化は最近やめてしまったようだけれど。

ところで、日本人って、外国の地名を呼び捨てにするのが好きだよね。
本作の原題は「Death On The Nile」だが、映画の邦題は「ナイル殺人事件」、原作の邦題は「ナイルに死す」となっている。
“The Nile”のように、川の名前の前に“The”がついている場合は、“The Nile River”とか、“The River Nile”という丁寧な言い方をしなくても、○○川という意味になるのに、日本語訳って、大抵、川をつけずに“ナイル”と呼び捨てにしているんだよね。

これは、川だけでなく、山とか市とかもそう。
英語で“マウント・エベレスト”と書かれていても日本語訳は“エベレスト山”とはならず、“エベレスト”と呼び捨てだし、“ニューヨーク・シティー”も“ニューヨーク市”とはされず、ただの“ニューヨーク”とされてしまう。

そのくせ、日本の地名を英語表記する時なんて、たとえば、隅田川なんて、“The Sumidagawa River”なんていう表記をしたりするんだよね。日本語に直したら、“隅田川川”だぞ!英語の表記にならえば、“The Sumida River”でいいのにね。

まぁ、日本のマスコミは敬語を使っていいのは日本の皇族のみで海外の王族には使ってはいけない。二重敬称も日本の皇族のみという明らかな人種差別をしているし、正しい日本語を教える連中は決まって、外来語には“お”を付けてはいけない=海外の文化は日本より下だからリスペクトする必要はないって言っているから、そもそも、日本人というのは排外主義の人種差別主義者なんだよね。そりゃ、簡単にネトウヨ化するし、いくら暮らしが苦しくても自民党を支持するわけなんだよね。

《追記》
ところで、予告編ではデペッシュ・モード、1990年のヒット曲“ポリシー・オブ・トゥルース”のリミックス・バージョンがめちゃくちゃカッコいい感じで使われていたけれど、やっぱり、本編では未使用だったか…。
まぁ、サロメ・オッタボーンというキャラクターが歌うジャズとブルースの中間のような楽曲が何曲も流れていて、それがめちゃくちゃ良かったから問題はないんだけれどね。
あと、スコア担当のパトリック・ドイルって、本当、ケネス・ブラナーとの付き合いが長いよね。
監督と作曲家のコンビでいえば、スティーブン・スピルバーグとジョン・ウィリアムズ、ティム・バートンとダニー・エルフマンに匹敵する名コンビかも知れない。

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