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今期アニメに覇権作品はないのか?


「艦これ」の2期となる(制作サイドは単純な2期とはしていないが)「「艦これ」いつかあの海で」(「」付きが正式タイトルなので、「」が二重になるおかしな書き方になっている)がやっと放送開始となり、これで10月クールで自分が見ようと思っていたアニメが全て始動したことになる。

今期見ているのは以下の作品だ(放送曜日順。曜日は実際のカレンダー上のものではなく、放送局の編成上のもの)。

火曜日
「チェンソーマン」
木曜日
「「艦これ」いつかあの海で」
「うる星やつら」
金曜日
「羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」
土曜日
「SPY×FAMILY」(第2クール)
「ポプテピピック TVアニメーション作品第二シリーズ」
日曜日
「機動戦士ガンダム 水星の魔女」

「羅小黒戦記」は今週が最終回だったりもするが、とりあえず、今期は7作品を見ていることになる。完走すれば、多分、自分史上最多となるはずだ。

ということで、気になるのは今期の覇権作品は何かということだ。

ここで、2020年以降の(実質、コロナ禍になってから)テレビアニメの各期ごとの自分が選んだ覇権作品を振り返ってみたいと思う。

ちなみに対象作品選定の際のレギュレーションはこんな感じ。

●配信アニメは配信とテレビ放送がほぼ同時期に行われたもののみカウント(例:「ゴジラ S.P <シンギュラポイント>」は対象、「ULTRAMAN」は対象外)
●地上波で放送されていなくてもBSなどでテレビ放送されていれば対象とする
●ショートアニメは除外
●続編もの(2期、3期など)は除外
●2クール放送作品の2クール目は除外(分割2クール放送も含む)
●劇場用作品などを再編集してシリーズとして分割放送したものは除外
●「ラブライブ!」シリーズという大枠には含まれるものの「ラブライブ!」や「ラブライブ!サンシャイン!!」と直接連なる続編ではない「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」や「ラブライブ!スーパースター!!」のような作品は新規作品扱いとする
●「マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 」のようなスピンオフ作品は新規作品扱いとする
●リメイク、リブート作品は新規作品扱いとする

そんな基準で選んだMy覇権作品はこんなラインナップだ。

2020年
1月期
マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝
4月期
LISTENERS リスナーズ
7月期
彼女、お借りします
10月期
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

2021年
1月期
IDOLY PRIDE
4月期
ひげを剃る。そして女子高生を拾う。
7月期
ラブライブ!スーパースター!!
10月期
見える子ちゃん

2022年
1月期
その着せ替え人形は恋をする
4月期
恋は世界征服のあとで
7月期
シャインポスト

こうしたレギュレーションに照らし合わせると、今期視聴作品で覇権候補の資格を持たないのは以下の作品となる。

●2期目の作品
ポプテピピック TVアニメーション作品第二シリーズ

●2期とは呼んではいないがテレビ作品としては第2シリーズであり実質2期となっている作品
「艦これ」いつかあの海で

●分割2クール放送で第2クール目を迎えた作品
「SPY×FAMILY」

●劇場用作品を再編集してテレビシリーズ化した作品
「羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」

そんなわけで、覇権候補の対象となるのは以下の3作品だ。

「チェンソーマン」
「うる星やつら」
「機動戦士ガンダム 水星の魔女」

まぁ、「うる星やつら」は80年代の人気アニメのリメイクだし、「水星の魔女」は直接の続編ではないとはいえ、1979年にスタートした「機動戦士ガンダム」の関連作品だ(「ラブライブ!」シリーズで言えば、「サンシャイン!!」や「ニジガク」、「スパスタ!!」のようなもの。まぁ、「ガンダム」も「ラブライブ!」もサンライズ作品だが)。
だから、純粋な新作と呼べるのは「チェンソーマン」だけだったりもする。

でも、「チェンソーマン」は人気コミックだったそうだが、ここまでのアニメ版を見ている限りでは、「鬼滅の刃」や「SPY×FAMILY」のように普段、アニメを見ない層までをハマらせるまでのような要素があるとは思えないんだよね。かと言って、アニオタが考察したくなるような要素もない。

「水星の魔女」は、ツイッターで検索すると、“つまらない”というワードがサジェストされるくらいだ。学園を舞台にしたロボットバトルと恋愛戦が毎週パターンを変えつつ繰り広げられているだけ、要は戦隊シリーズや昔のロボットアニメみたいなフォーマットの作品なだけに、「ガンダム」らしい戦記ものや、覇権アニメに多い考察系を期待している人には物足りないと思われてしまうのは仕方ないと思う。個人的には面白いと思う週もあれば退屈に思う週もあると感じているので、仮にアニメ史に残るような最終回を迎えたとしても覇権とは呼べないと思う。

「うる星やつら」に関しては問題外だ。そもそも、放送開始時間が第1話の時点で本来の時間でないというのが酷い。しかも、第3話は日本シリーズの放送時間が延長されたせいで1時間半オシでの放送となったしね(録画に失敗したので配信で見た)。
そして、内容はもっと酷い。現代風のキャラデザにしながら、作中で描かれる風景や倫理観は昭和のまま(黒電話も出てくるし、親が平気で子どもを産まなければ良かったなんて言ってしまう)。
声優陣も上坂すみれや内田真礼など今、アイドル的人気がある声優を使う一方で、オリジナル版のキャストを脇役で使ったりもしている。
一体、ターゲットを誰にしているのかよく分からないんだよね。
原作ファン、80年代版アニメのファン、若いアニメファン、あらゆる層を取り込もうとしようとした結果、何がやりたいのか分からない作品になってしまっている。

こうなると、もう覇権作品候補がないんだよね…。

というか、自分のレギュレーションでは対象外としている続編ものを含めてもつまらない作品ばかりだ。

「ポプテピピック」2期なんて、老害ネット民のヤフコメとかツイッターのつぶやきみたいで、本当、見ているのがツラい。
1期の時はAパートとBパートが担当声優を変えただけで基本は同じ内容となっていて、しかも、Bパートでは女性キャラを男性声優が演じているという演出は斬新だった。

ただ、その一方で問題点もあった。
内容は基本くだらないもので、パロディが多かったことから、同作を“つまらない”と批判する人に対して、“アニメ ・ゲーム・声優やサブカルに関する知識がない無知な奴だから、作品の面白さが分からない”とか、“センスがない奴だから面白さが分からない”といった類の揶揄的暴言が浴びせられることも多かった。

こうした問題はアニメではないが、三谷幸喜や宮藤官九郎の関連作品でもよく起こることだ。
三谷幸喜に関しては「ギャラクシー街道」という弁護の余地がないクソ映画を撮ったおかげで、映画作品に関しては批判しやすくはなったが、それでもドラマや演劇作品に関してはいまだに批判できない雰囲気がある。

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「SPY× FAMILY」についても語っておこう。第1クールは全体で一つのストーリーがあったので、そんなに不満はなかったが、第2クールは完全にギャグアニメ構成になってしまっているんだよね(そう言えば、リメイク版「うる星やつら」もそう)。
第2クール第4話(通算では16話目)はAパートとBパートが別の話だったし、第5話(通算では17話目)なんて、さらにCパートまで別ネタの3本立てだった。ネット民がスパイ版クレしんと揶揄する気持ちもよく分かる。 

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「ポプテピピック」は1期が話題になったから2期が作られるのは分かるし、「SPY×FAMILY」は元々、分割2クールとアナウンスされていたので第2クールが放送されるのは当たり前だ。

でも、テレビシリーズ1期が酷評された「艦これ」の2期が作られるのは謎だよね。単純な2期ではないという言い方をしているのは、何故、続編を作ったのか理解できないという批判に対するエクスキューズなんだろうね。

そして、実際に第1話を見てみたが、まぁ、シリーズものを含めても、これを今期の覇権にするのは無理だよねとは思った。

「チェンソーマン」をつまらないと言う人たちが、よく実写日本映画みたいな構図、テンポであることをあげているけれど、個人的にはこちらの方が実写日本映画っぽいと思った。テレビや配信で見るのには向いていない気もするかな。

でも、酷評された1期の汚名を返上しようという意欲は感じることができた。

1期は、ネトウヨ受けする戦前の日本を賞賛し、中国を敵視する作品にしたいのか、オタク受けする擬人化された軍艦の日常を描いた萌えアニメにしたいのか、方向性が定まっていないようにも思えたが、今期の1話を見た感じだと、萌え要素はゼロではないし、ネトウヨ的思想もゼロではないものの、史実をベースに敗戦に向かっていく日本の悲壮感を描こうとしているのは感じ取ることができた。だから、現時点では左右、硬軟のバランスはある程度、取れているのではないかと思う。

でも、決して手放しで面白いと言える作品になりそうな感じはしないけれどね。

というわけで、パッとしないまま、10月クールのアニメ は終わりそうだ。

まぁ、これから盛り上がっていき、後に名作とか伝説のアニメとか呼ばれるような作品が出てくる可能性はゼロではないけれどね。でも、期待は薄そうかな。

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