私が好きなフウロソウ科の植物とドリルみたいな変な形の種子
こんにちは!金成コーデックスの三浦です。
私の育てている主に南アフリカに自生している珍奇な植物の中には、種子の形状までへんてこなものがあります。
中でも「フウロソウ科」という分類の植物は、ドリルのような形状をしているんです。「種って普通丸いもんじゃないの?」って思いますよね?
でもやっぱり植物ってそういう形状をしているのには、何かしらの意味があるもんなんです♪
そんな種の形まで変わっている、私が大好きなフウロソウ科の植物についてご紹介したいと思います。
1.フウロソウ科の植物って?
私が育てている中でフウロソウ科の植物は「Pelargonium(ペラルゴニウム)」と「Monsonia(モンソニア)」があります。私は栽培していませんがよく知られた園芸品種の中では「ゼラニウム」なんかがそうですね
私の好きなペラルゴニウムは南アフリカに数多くの種類が集中していて、花の模様や色、葉の切れ込みや厚さ、小型の品種から樹木のように巨大になる品種もあります。塊根ができる品種もあるので、塊根植物としての人気がある品種も多数あります。
モンソニアは、以前は「Sarcocaulon(サルコカウロン)」という名前でした。種類はあまり多くありませんが、樹形が格好良く育つのでとても人気があります。そして自生地では数を減らしているので希少な種が多いです。
全ては紹介しきれませんが、私が実際に育てているフウロソウ科の植物をいくつかご紹介します。(※一部、私よりも栽培が上手な方の写真を借りています)
Pelargonium caroli-henrici
Pelargonium appendiculatum
Pelargonium crithmifolium(和名:山伏天狗)
Pelargonium auritum
Pelargonium oblongatum
Monsonia multifida
モンソニア・ムルチフィダは、モンソニアの栽培方法を確立してブログでもシェアされているデザイナーのMoriさんのインスタから画像を拝借。私が自宅で育てているムルチフィダもMoriさん由来の種子ですが、彼のように短期間で花をたくさんつけるほどうまくは育てられていません。やっぱりすごい。
Monsonia vanderietiae(和名:竜骨扇)
Monsonia ciliata
2.フウロソウ科の変な形をした種子
ペラルゴニウムやモンソニアに代表されるフウロソウ科の植物の種子は、受粉をすると花の中央部分から種子がびよーんと伸びてくるので受粉が成功し結実したことがわかります。
その種子の形状がこれ。
見事にネジネジしてます(笑)
これは実は、ドリル状の形状になっている軸の部分が濡れると、真っすぐになろうとする動きを利用して種子部分が土に刺さっていくようにできているとても合理的な理由があるんです。軸の部分には細かい毛も生えていて、風に乗って飛びやすいようにもなっています。
実に面白い!!!(ですよね?)
そして、フウロソウ科の植物の種子の面白いところはこれだけじゃないんです!
3.煙の成分が発芽のスイッチを入れる?
ペラルゴニウムの種子は、普通に土に蒔いてもあまり発芽してくれません。
寒暖の差がある程度ある時期(※場合によっては朝晩の温度が一桁の時)に種子が動き出すことがあるのですが、私は冷蔵庫を使って発芽させる方法をとっています。そして、より発芽率を上げる方法としてペラルゴニウムに関しては「燻煙処理」が効果的であることがわかっています。
燻煙処理とは、煙の成分をしみこませた「スモークペーパー」という紙(※薬品です)で、種子と一緒に湿らせて管理することで発芽を促す効果を得られる方法をいいます。
なんで煙の成分が発芽を促進するかというと、煙の成分から「山火事」を感じ取ることによって発芽のスイッチが入る植物があるんです。
日本では山火事がそんなに起きることはないですが、オーストラリアなど山火事が頻繁に起きる地域では、山火事という天災すら自身の生存戦略に組み込んでしまっている植物が数多くあるんです。コアラの主食で有名なユーカリもその一つ。
せっかく発芽しても山火事が起きてしまえば生き残れませんし、他にも日光を覆い隠すほど高い木々や他の植物があると単純に生存競争に勝てません。しかし、山火事が起きた直後に発芽すれば、他の植物は焼かれて枯れているはずですし、山火事も(燃えるものがないので)しばらく起きることはないでしょう。そのため、種子は発芽スイッチが入るまで土の中で休眠状態になってその時を待つわけです。
そのため、そのような特殊な条件で休眠打破が起きるよう遺伝子に組み込まれている植物は、やはりそのスイッチを入れてあげないとなかなか発芽してくれないんですね。ペラルゴニウムに燻煙処理が効果的な理由は、必ずしも山火事が多い地域に自生しているものばかりではないのでよくわかっていませんが、実際に実験した場合では燻煙処理を行ったほうが若干発芽率は高かったです。
4.まとめ
私が好んで育てているペラルゴニウムに代表されるフウロソウ科の植物についてでした。
ここでご紹介したような原種のペラルゴニウムの種子なんかは、私のオンラインショップで種子の販売をしているものがございますので、興味を持たれた方は是非ご覧になってみてくださいね。
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