【読書メモ】一元論 vs. 多元論:『ウィリアム・ジェイムズのことば』(岸本智典編著)
『ウィリアム・ジェイムズのことば』の前回のまとめでは、プラグマティズムの説明をする上でジェイムズが多様な評価軸による多様な真理を認めるということに触れました。ここからも推察できることなのかもしれませんが、ジェイムズは多元論の立場に拠っていることが読み取れます。今回は、一元論に対する多元論について考えます。
一元論ジェイムズが仮想敵として置いている一元論は、イギリス観念論と呼ばれる学派によって提示されているものです。本書ではT・H・グリーンとF・H・ブラッドリーといった哲学者