【論文レビュー】SEMのモデル適合度の値についてガイドラインを提示してくれているありがたい論文。:Hooper et al.(2008)
複数のモデルについて確認的因子分析を行ってモデル適合度を算出していると(この算出自体はSPSS Amosを用いれば容易にできます!)、どの程度の値なら論文で自信を持って「検証できました!!」と書けるのだろうか?と不安になることがあります。他の研究者の方々に聞いてなんとなくの値は理解しているものの、いざ論文に書くとなると何を以てその値の確からしさを言えるのだろうか?というモヤモヤ感が出てくるわけです。本論文は、そのガイドラインを出してくれているありがたい存在です。以下は、定量調査をしない方にとっては全くもって無駄な情報でしかない(?)ので、ここで閉じてください!
データのガイドラインを出す勇気
データのガイドラインを出すと、ほぼ必ず反駁や痛烈な批判を受けることになることが予想されます。たとえば日本のプロ野球で考えてみましょう。名打者の条件は打率三割と設定したとしたら、「いや打率は三割未満でもホームランを⚪︎⚪︎本以上なら名打者でしょ」とか「勝ち負けに関わるのは打点だから打点が⚪︎⚪︎以上にするべきだ」などと、すぐに他の意見が出てきます。数値なので誰からもわかりやすいことは、反対に言えば異論・反論が出やすいということにもなるのです。
こうしたリアクションをおそらくは著者たちも覚悟はしているのでしょう。それでもガイドラインを提示する意図として、著者たちは冒頭で以下のように述べています。
一言で言えば、SEMを用いた今後の研究の発展のためにガイドを示そうではないか!ということでしょう。頭が下がりますし、勇気に最大限の敬意を示して、私も活用したいです。
具体的なガイドライン
ガイドラインではあるものの、いろいろな但し書きは書かれています。以下は、そうした但し書きを除いて、私が今後参考にできそうなものの羅列になりますので、詳しく理解したい方はぜひ原文にあたってみてください。
RMSEA < 0.08
GFI > 0.90
AGFI > 0.90
CFI > 0.90
なお、どうしても日本語でガイドラインを知りたいという場合には、安定の豊田先生の以下の書籍(p.18あたり)での記述になりそうですので併せてどうぞ。
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