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【論文レビュー】職場で人を理解することが組織からの支援の認識を高める!?:林・大澤(2020)

組織から支援されているなぁという認識をPOS(Perceived Organizational Support)、上司から支援されている認識をPSS(Perceived Supervisor Support)と呼びます。本論文では、職場で周囲の人を理解することが組織で求められている目標の理解を媒介して組織からの支援の認識を高める、という結論を導き出しています。

林祥平, & 大澤篤. (2020). 知覚される 「上司」 と 「組織」 の境界- 定量的・歴史的アプローチからの検討. 明治学院大学経済研究= The papers and proceedings of economics, 160, 1-14.

結論

冒頭で記した結論の関係性を図示したものが以下のものです。

p.11

説明変数である「人」と、媒介変数の「組織目標」という2つは、どちらとも組織社会化の下位次元です。職場の周囲にいる人や組織について学んでいくことによって、組織が明示的にも暗黙的にも大事にしている目標について理解することができ、その結果として組織からの支援を得られていると認識できるようになる、ということが結論として述べられています。

留意点

本研究の調査対象者数は48名という極めて少ない人数となっており、著者たちも指摘しているようにサンプル数が必ずしも十分ではありません。そのため、組織社会化が高群と低群とに分けて分析を行った結果、低群でのPOSとPSSを同一とするか(1因子構造)、峻別するか(2因子構造)を確認的因子分析したところ、以下のようにどちらもモデル適合度に問題がある数値となっています。

p.9

したがって、結果に関する示唆を参考にはしながらも、学術面では追加の実証研究を重ねることが必要と言えそうです。

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