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【読書メモ】グローバルに利用される心理尺度はどのようにつくられているのか?:『なるほど!心理学調査法』(三浦麻子・大林恵子著)

キャリア・アダプタビリティ尺度(CAAS)について書かれているSavickas & Porfeli(2012)は何度か読みました。ただ、この論文をあらためて熟読して気づいたのは、尺度開発の心理統計に関する詳細な手続き内容をこれまであまり理解していなかったということです。今回は、多国言語で使われる尺度開発について、以下の書籍で補足しながらまとめてみます。

不変性

CAAS開発論文を読んでいて大量に出てくる単語はinvarianceでして、これは日本語では不変性として訳されるものです。不変性とは、多国間で同じ尺度を開発する上で比較文化調査を行うために検証するものです。各国において、異なる集団間で回答傾向に差がない(=不変性が高い)ことを解析するわけです。

なお、不変性と同じような意味合いとして等価性(equivalence)という言葉もあります。論文の中でもよく出てきます。本書では、ざっくり言えば同じ意味合いとして捉えて良いようです。

他母集団同時分析の方法

Savickas & Porfeli(2012)では、アメリカを含めた13ヶ国の研究者が、同じ尺度を英語で開発し、その上で母国語に翻訳するというアプローチをとっています。本書によれば以下の三つのステップで検証を行います。

  1. 各集団で同じモデルの適合度を確認的因子分析で検証

  2. 異なる集団間で因子負荷量が不変であることを仮定して適合度を検討

  3. 異なる集団間で項目が不変であることを仮定して適合度を検討
    →Savickas & Porfeli(2012)では、RMSEA(Root Mean Square Error of Approximation:二乗平均平方根誤差近似)とSRMR(Standardized Root Mean square Residual:標準化残差平均平方)で検討

確認的因子分析については以下がわかりやすいです。何度もURLを貼っていますが、これ以上のものは知らないので改めて。


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