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【ワイクを読む!(6/9)】イナクトメントと組織化:『組織化の社会心理学[第2版]』(カール・E・ワイク著)

本章ではイナクトメントに焦点が当てられています。イナクトメントの特徴として、囲い込み、逸脱増幅、自己ー成就的予言、リアリティーの社会的構築、という四つが挙げられています。順に見ていきましょう。

①囲い込み

囲い込みとしてのイナクトメントは、スキーマと呼ばれる認識の枠組みによってもたらされるとワイクはしています。つまり、経験のどの側面に焦点を当てるかどうかは、個々人が持つ認識によって規定されるものであり、経験というものが客観的に存在するものではない、ということです。

②逸脱増幅

逸脱増幅は、会議の例を考えればわかりやすいようです。会議での意思決定は、その会議に出席する人の出席率のわずかな差異によって増幅されるというのです。つまり、ある会議において正論と異なる異論が提示されている場合、その異論が疎外されるようになると、その異論に賛意を示す人々の出席率が落ち始めます。その結果として、そうした人々が疎外されるようになり、さらに出席率が下がるとともに、異論を排した結論へと誘われることで、逸脱状況が増幅される現象が生み出されるのです。

③自己ー成就的予言

イナクトメントの意味合いは、経験から何かが生成されることにあります。意味が外化するということは、外化されたものを認識することでその中に知識として再発見されるということを意味します。つまり、何かを言葉として発すると、それが意味を持ったものとして生成されるという自己ー成就的な予言としての機能を果たすのです。

④リアリティーの社会的構築

これはいわゆる社会構成主義の考え方と言えます。私たちが知るという行為は、「主体が客体と相互作用する側面を有し、客体を一部分構築する活動である」(215頁)というわけです。相互作用によって、現実が構築的に生成されるという考え方を取っています。


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