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【論文レビュー】良いシステムを高い組織業績につなげるには人的資源の柔軟性が大事!:Beltrán-Martín et al.(2008)

本論文の結論を先取りすると、高業績労働システム(High Performance Work Systems:HPWS)組織業績に影響を与える際に、人的資源柔軟性(HR flexibility)を媒介することを明らかにしています。

Beltrán-Martín, I., Roca-Puig, V., Escrig-Tena, A., & Bou-Llusar, J. C. (2008). Human resource flexibility as a mediating variable between high performance work systems and performance. Journal of Management, 34(5), 1009-1044.

人的資源柔軟性の意義

自戒を込めて申しますと、人事担当者は、良い制度やシステムを導入しさえすれば組織業績が向上すると時に考えがちです。しかし、そのようなことがないことは、企業で勤めていればなんとなく実感していることでしょう。

本論文では、冒頭でも述べたとおり、高業績労働システムが組織業績を直接的に向上させるのではなく、人的資源柔軟性を通じて間接的に向上させるという関係性を示しています。以下の結果図をご覧いただくとイメージがつきやすいでしょう。

p.1030

人的資源柔軟性とは何か

人的資源柔軟性とは、ざっくり言えば、従業員が変化する環境や求められる要件に迅速に適応して多様なタスクや役割を効果的に果たす能力である、と本論文ではされています。

尺度は3次元11設問で構成されているとして、具体的には、以下のように機能面での柔軟性、スキルの可塑性、行動の柔軟性、という三つの次元から成り立っていることを実証しています。

p.1036
p.1037

各設問項目を読んでみると、研究において、人的資源の柔軟性をどのように捉えることができるのかをイメージできるのではないでしょうか。

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