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財政赤字と民間貯蓄の関係性!

前回の記事でも、
『日本では、
民間貯蓄が多くあることから、
政府は巨額の借金が可能である。
ただ、民間の貯蓄がなくなったら、
財政は破綻する』
などの発言をされている方も
おられます。

他にも、
財務省の財政制度等審議会でも
家計の保有資産や
企業資産を担保に、
新規国債などが発行できている
などと説明されています。

ただ、
この考え方は
現実とは異なっています

以前の記事で、
銀行の貸し出しが預金を創造する
と説明しました。

銀行の貸し出しは、
銀行の保有する預金の制約を
受けませんでした。

であれば、
政府への貸し出しも、
預金による制約を受けることは
ないことになりませんか?

ただ、
政府は民間銀行に
預金口座を持っているわけではなく、
政府は、
中央銀行にのみ
口座を開設しています。

このため、
日本では、
銀行が国債を購入する場合は、
銀行が日銀に保有している
当座預金残高を利用する必要があります。

というわけで、
銀行が国債を購入する流れとしては、
1.銀行が国債購入し、
 銀行保有の日銀当座預金は政府の預金勘定に振替
2.政府は、例として
 公共事業の発注などに対して、その企業に政府小切手で精算 
3.企業はその小切手を
 民間銀行へ持ち込んで、普通預金への取引を依頼
4.銀行はそれに相当する金額を
 企業の口座に書き込み(新たな民間預金の創造)、
 代金の取引を日銀に依頼
5.政府保有の日銀当座預金が、
 銀行の開設している日銀当座預金勘定に振り替えられる
6.銀行は戻ってきた日銀当座預金で、
 新規発行された国債を再び購入可能

となります。

だいぶややこしいですよね。

ただ、
この過程でかなり重要なこととしては、
2つあります。

1点目は、
銀行は、持っている日銀当座預金で
国債を購入しています。

集めた民間の普通預金を元手にして
購入しているわけではありません。

『個人で日銀当座預金を持っているよ』
という方がおられましたら
教えて下さい。笑

話を戻しますが、
銀行の国債購入は、
民間預金の制約を受けていないことがわかります。

では、
この日銀当座預金は
どこから来たのかというと、
日銀がもともと供給したものになります。

そうなると、
銀行の国債購入は、
日銀が政府から直接国債を購入して
当座預金を供給することとほぼ同じになります。

いずれにしても、
政府の財政赤字は、
民間貯蓄が財源ではないわけです。

2つ目のポイントは、
政府が国債を発行して、
財政支出を行った結果、
その支出額と同等の民間預金が
誕生しているという事実
です。

つまり、
政府の赤字は
民間貯蓄を減らすのではなく、
むしろ増やす
ことになります。

政府の赤字=民間の黒字
ということですね。

この2点が整理できると
冒頭で扱った内容に矛盾が生じます。

もう一度確認してみましょう。

『日本では、
民間貯蓄が多くあることから、
政府は巨額の借金が可能である。
ただ、民間の貯蓄がなくなったら、
財政は破綻する』

ここでピンときたら
かなり理解されています!

さすがです!

・民間貯蓄が財政赤字の財源となっていないこと
・財政赤字が増えると民間貯蓄は増える
事になりますから、
財政赤字の拡大によって、
民間資金が不足することで、
金利が上昇するということは
生じないといえます。

こうなると、
日常でよく見る
『また国債発行!借金大国日本
国民一人当たりの借金』
のような書き方に
違和感を覚えるのではないでしょうか?

『・・・むしろ僕たちのお金増えてるから
もっとやってもいいんじゃない?』


と。


一緒に学んでいきましょう!


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