中之島備忘録 令和4年3月17日木曜日
川に、波紋が生まれた。
波紋は、内側から次々と生まれては広がる。そのどれも消えることなく広がって大きくなって、そして、河岸にぶつかって形を変えた。
新しく生まれた波紋は諦めない。
波紋はまあるく、きれいな円を描いて光を集める。
規則正しく。
ぶつかった波は、はずんで音をたてる。
はじき出された泡は、きらきらと放物線を描きながら、また川へと戻っていった。
私はその終わりと始まりを見ていた。
そして、またその続きを知りたいがために、たちどまって橋の上からのぞく。
深い緑色の川面に私の色が映った。
空っぽに見えた。
どのビルの影よりもずっと薄っぺらいと思えて、思わず笑ってしまった。
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