中之島備忘録 令和4年3月29日火曜日
薄暗い風が、やや強く斜めに吹いていた。
川の流れに逆らって、カラスの声が反響する。金属が擦れ合うような、耳を劈く声。
寂しく冷たい風景。目を凝らさないと、細部まで見ることはできない。
見えない光の糸に繋がれた関係は、誰しもが願う関係性。
私たちはだって寂しいから。
赤いトラックが橋の下のトンネルをゆっくりと越えて、こちらの世界へと足を踏み入れてきた。側面に描かれたお馴染みのぐねぐねした白いロゴが、安心させる。
安心させるためにそこに描かれているわけじゃないのに。
不本意でも、トラックが不満を語ることはない。
運転席と助手席の男が二人、代弁役を担う。
彼らだけに許されている。
油断しないように、今日をまた生きよう。
そう
思った。
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