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中之島備忘録 令和4年3月10日木曜日

もう一度空を見上げると、さっきまで確かにはっきりと一直線を描いていた、ひこうき雲がぼんやり広がって背景に溶けようとしているところだった。
そう、今まさに。

私はリラックスして、あーあ、と声に出して大きなあくびをした。前を歩いていた男が驚いたように慌てて振り向いたが、じきに無関心な顔をして、早足で去っていった。
追いかけてみようかと考えたが、その行為は別段、面白くともなんともないことに気付いたのでやめた。

警笛が鳴った。

意思とは無関係に、私はまた歩きはじめる。日常にもどるために。

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