#24 忘れられない記憶 について
忘れられない記憶があります。
いつもは影も形も見せないのに、不意にぬっと現れる。
じんわりしたり、チクッとしたり。
心をちいさく震わせて、また姿を隠してしまう。
そういう記憶が、いくつもあります。
状況はとうの昔に忘れてしまったのに、相手の顔と言葉だけはやけに鮮明に焼き付いていたり。
たった一瞬の映像を、床の木目まではっきりと覚えていたり。
思い出すたびに当時の感情が当時のままに思い起こされたり。
いろんな形がありますが、たとえそれがチクッとする痛々しいものであっても、大切にしたいと思っています。
だってそれは、大切なわたしの一部分だから。
忘れられない思い出も、きっといつかは消えていくのでしょう。
わたしにそれが必要なくなったとき。
わたしがそれを乗り越えられたとき。
気配も感じさせずに、そっと、さようならも言わずに。
忘れるのではなく、思い出さなくなっていくのでしょう。
寂しいような気もするけれど、そうして空いた席には、またすてきな思い出が座ってくれるはず。
そのときを夢見ながら、今日もそっと、記憶を手放してゆくのです。
2019.09.17
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