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サウナや草津の湯治が、耳鼻科の病気に効果あるか考察

サウナブームです。私も、月に何度か近所のサウナ施設に行きます。サウナが、ただの温泉よりも効果がある理由を、自分の体験から説明します。

サウナでは「ととのう」と表現される、身体かつ精神状況が極限まで研ぎ澄まされた感覚を体験できます。しかし「ととのう」にはコツがいります。90度以上の高温と氷のような冷水刺激を、交互に繰り返す必要があります。

高温では、発汗するために体表の血管が広がって血管が太くなります。血圧が下がるので、心臓は鼓動を早めてドキドキ脈拍数が上がります。交感神経の刺激になり、100mを全力疾走した後のようです。その後、すぐ冷水に浸かります。血管がきゅっと締まって、血圧が急上昇します。意識が飛びそうになります。ジェットコースターのような上がり下がりで、体に大きな負担がかかります。高温、冷水、高温、冷水を数回繰り返していると、頭がすっきりして、体が軽くなり、皮膚にはまだらの赤い紋章が浮かび上がってきます。これを「ととのう」と表現します。

マラソンは苦しいですが、後半になって苦しさを乗り越えると、足の痛みも呼吸も整って「ランナーズハイ」になることが知られています。脳内麻薬(エンドルフィン)が出て気持ち良くなるからです。サウナの「ととのう」快感も、極限状況に置かれた脳が出す、脳内麻薬のせいと考えられます。

さらには、サウナ後、筋肉疲労がとれて美肌になります。高熱にさらされると、細胞はヒートショックプロテイン(熱ショック蛋白)を分泌し、障害された細胞を治します。運動で壊れた筋肉や、麻痺した神経が回復します。サウナ後に、疲労が取れて肌がツルツルになる理由です。

ロウリュウとアウフグース

極限状況は、慣れないと自分の意思では制御できません。熱さに我慢できなくて、サウナ室から逃げ出るからです。一線を超えなくてはなりません。私の通うサウナ施設では、スタッフが「アウフグース」と「ロウリュウ」してくれます。ロウリュウは、本場フィンランドで行われます。高温の石にアロマ水をかけて水蒸気を大量発生、湿度を急上昇させて、体感温度を上げます。アウフグースは、その蒸気をスタッフがタオルで仰いで、風の威力で体感温度をさらに高めるパフォーマンスです。アウフグース・タイム10分間は我慢大会のようで、熱に耐えられないと「すみません。通してください。」とカッコ悪く部屋から出てゆきます。隣の奴に負けまいと最後まで我慢するので、自分の限界を超えて、高温にさらされます。

これが、サウナで「ととのう」理由です。温泉もリラックスと美肌効果がありますが、入るのは40度のお湯だけです。極限状態の高温、冷水、高温、冷水の繰り返しがないと、脳内麻薬やヒートショックプロテインは出ません。しかし、地元の群馬、草津には「時間湯」と言われる伝統的な湯治がありました。まったくサウナと同じ入浴方法です。医療のなかった昔は、草津の湯治が最高の癒しでした。「お医者様でも、草津の湯でも、恋の病は治せまい。」医者と同等に扱われていました。

草津の湯もみと湯畑

草津の時間湯は、源泉が50度を超える草津ならではの入浴法です。湯治客は、草津の熱いお湯につかりますが、「湯長」と呼ばれるリーダーが時間を測って音頭をとります。「♪揃って3分~、(客)オー」・・・30秒前から「♪チックリご辛抱~、(客)オー、♪辛抱のしどころ~、(客)オー、♪さあ効きましたらソロソロ上がりましょう~、(客)オー」。我慢を超えて、湯長に従って3分間、熱いお湯に入らなくてはなりません。サウナの高温極限状態に似ています。「(客)オー」の返事を聞いて、湯長は体調の悪い人を判断します。サウナのスタッフも同じです。さらに、お湯から上がった後が大切で、汗を流さずにバスタオルで体を包んで、休憩室で長時間蒸します。草津の冷えた空気が頭から顔、手足を冷やし、体幹は蒸されて汗をかきます。サウナの冷水浴と同じ理屈です。これを朝昼夕の3回繰り返します。専門の温泉宿に泊まり込んで長期逗留します。草津の時間湯は、日本式のサウナと言えます。

原因不明の病や、皮膚病に、草津の湯治が使われました。どちらも、脳内麻薬の「ととのう」効果と、ヒートショックプロテインの修復が有用な病気です。

メニエール病の特徴とジョギングが治療

耳鼻科の多くの病気は、ストレスが原因です。とくに難聴めまい、メニエール病には、有酸素運動と睡眠の確保が大切と言われます。有酸素運動とは、マラソンのように、じっくり汗をかいて、酸素を多く吸い込む運動です。しかし、患者さんによっては、「足や腰が悪くて、マラソンやジョギングできません」と言われてしまいます。そんな時、究極のサウナで、汗をかいて心肺を刺激するのが良いと思います。サウナの後は、オキシトシンと呼ばれる脳内幸せホルモン、睡眠促進ホルモンも出るので、夜もぐっすり寝られます。心臓の悪い人や、高齢者は除外ですが、理屈ではストレス病に効果ありそうです。しかし、まだ誰も臨床研究したことありません。どこかの研究機関が試してくれないでしょうか。


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