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『銀の匙』の泉を求めて -中勘助先生の評伝のための基礎作業 (110) 「孟宗の蔭」の変遷を追う

 中先生の「孟宗の蔭」の初出は岩波書店から出ていた雑誌『思想』で、第14号(大正11年11月1日発行)、第15号(同年12月1日発行)、第38号(大正13年12月1日発行)、第126号(昭和7年11月1日発行)、第129号(昭和8年2月1日発行)と5回に分けて連載されました。連載は連載ですが、大正11年から昭和8年まで足掛け12年という非常に断続的な連載になりました。大正期の3回分は単行本の『沼のほとり』(大正14年7月5日。岩波書店)に、昭和に入ってからの2回分は単行本『母の死』(昭和10年4月5日。岩波書店)にっそれぞれ収録されました。

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中勘助先生は『銀の匙』の作者として知られる詩人です。「銀の匙」に描かれた幼少時から昭和17年にいたるまでの生涯を克明に描きます。

●中勘助先生の評伝に寄せる 『銀の匙』で知られる中勘助先生の人生と文学は数学における岡潔先生の姿ととてもよく似ています。評伝の執筆が望まれ…

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